「東京オートサロン」はどこまで成長するのか クルマ好きをひき付ける魅力がある:高根英幸 「クルマのミライ」(2/5 ページ)
今年も年明けに東京オートサロンが開催された。カスタムカーの祭典だが、自動車メーカーも積極的に出展し、クルマ好きの心をつかんでいる。環境に配慮した次世代モビリティの提案も増えた。自動車産業を支える一大イベントとして、どこまで成長できるのか。
自動車メーカーの積極的な出展が目立つ
今回もトヨタは「GRヤリス」の改良版を持ち込み、ホンダは新型「アコード」や「シビック タイプR」の無限仕様を展示するなど、スポーツカー好きをターゲットにしたモデルを展示。ブースには人だかりができていた。
マツダはコンセプトモデルとしながらも、今後の販売を念頭にした限定モデルを展示していた。スーパー耐久選手権で戦ったレースマシンを並べるとともに、昨年のレース活動からのフィードバックを感じさせる限定モデルの内容が、来場者から熱い視線を集めていた。
マツダが市販を前提に開発を進める限定モデル。「MAZDA3」に2.5Lターボエンジンを搭載し、エアロパーツなどを装着。「ロードスター」にもソフトトップ車に2Lエンジンを搭載したモデルを展示。国内仕様にはない組み合わせと、特別な内外装の仕立てが魅力だ
その一方で、メルセデス・ベンツやヒョンデ、BYDといった輸入車メーカーもブースを展開していた。ヒョンデは「アイオニック5」の高性能モデルを持ち込んでいたが、オートサロンではややインパクト不足の感が否めなかった。BYDのブースもオートサロンでは埋没している印象を受けた。
メルセデス・ベンツのブースは広く、F1マシン(ホンダも展示していた。当然ながらモックアップだろうが)まで展示していたものの、高級車に興味を示す来場者は、このイベントでは少なめに感じた。それでも長期にわたって出展を続けることでブランドイメージの浸透を図り、独自の世界観を理解してもらいファンを獲得するという、先々を見据えた展開なのであろう。
整備士の専門学校の卒業制作であるカスタムカーの展示も毎度恒例のことだ。ペイントや板金の技術、デザインやアイデアなど、生徒それぞれの得意分野が込められたカスタムカーたちはどれも見ていて楽しいものだった。クルマの整備業界は、車両の電子制御の高度化により、コンピュータ診断にメカニックが従う時代になってしまっている。それもあって、存分にクルマいじりができる卒業制作はさぞかし楽しい思い出となることだろう。
洗車用品やボディーのラッピングなど、カーディテイリング業界にとっても、オートサロンは絶好のデモ&アピールの機会だ。新製品やキャンペーン商品を展示したり、ブランドの確かさを伝えたりするには、クルマ好きが集まるこの空間が非常に効率のいい機会だろう。
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