【炎上対応まとめ】その時、どうしたらよかった? パワハラ、性加害、寄付金着服……企業の対応を振り返る:働き方の「今」を知る(5/8 ページ)
「炎上」を目にする機会が年々増えている。一時に大きく注目されても、時間が経つと忘れ去られてしまうものも多いが、過去の失敗を学ぶことは重要だ。毎年同じような炎上が繰り返されており「過去から学んでいればこんなことにはならなかったのに」という事案がたくさんある。本記事では2023年の主な炎上をおさらいし、「企業は炎上にどう向き合い、どのように予防していけばよいのか」について考える。
【5月】ジャニーズ事務所における不祥事対応と危機管理広報体制を考える
ジャニーズ事務所創業者である故ジャニー喜多川氏(2019年没)による未成年者への性加害疑惑と、それに対するジャニーズ事務所の初動については、下記の記事で解説した。
詳細はリンク先からお読みいただきたいが、次のような初動の対応から、逃げの姿勢が感じられ「隠したい不都合な事実があるのではないか」という推測につながってしまった。
- 記者会見をせず、動画と質問回答のみの一方的な情報発信になっていた
- 声明公開日が、「新聞休刊日の前日、日曜の夜」であった
- 公式の謝罪文と動画が、事務所Webサイトの「INFORMATION」一覧に掲載されていない
- 「事実確認できない」「知らなかった」など、逃げの姿勢が感じられたこと
- 第三者委員会を設置した徹底調査はしないと明言した
【7月】「やってはいけないこと」だらけだった、ビッグモーター社長会見
この問題に関しては、下記の記事で詳しく記載した。
ビッグモーターは、ジャニーズと同様に当初「沈黙を貫いて批判をやり過ごし、事態の鎮静化を待つ」姿勢で乗り切ろうとした。確かに沈黙を貫けば、メディア側でも騒ぐ材料がなくなってしまうため、短期的には批判や騒動から一時的に免れられるように見えるかもしれない。しかし企業内においては、不祥事が発生する根本的な原因が解消されたわけではない。
この事例は「長い沈黙と形だけの謝罪」によってかえって批判が強くなり、事態収拾が困難になってしまった最悪のパターンといえよう。
【9月】悪対応により相次ぐ“ジャニーズ離れ”
ジャニーズ事務所がついに故ジャニー喜多川氏による性加害問題を認め、記者会見が実施された。しかし、その内容は期待外れなどころか「法人組織としてのジャニーズ事務所は、結局何も変わっておらず、対応が不十分」との印象を与えてしまった。
この問題に関しては、下記の記事で詳しく記載しているため、リンク先からお読みいただきたい。
関連記事
- レゴランドの炎上、根本的にどこが間違っていた?
従業員の小さな勘違いが、SNSを揺るがす大問題に発展した。何がまずかったのか、どうすべきだったのかを振り返りたい。 - 「謝罪会見のNG例」となったビッグモーター 何が炎上を加速させたのか?
- ジャニーズ騒動から考える、炎上時に「忘れてもらうまで待つ」策は、有効か否か
ジャニーズ事務所での性加害疑惑が大きな話題となっている。事務所による謝罪動画では、明確な回答をせずに事態をやり過ごそうとしている姿勢が見えた。こうした炎上時に「忘れてもらうまで待つ」策を講じる企業の事例が散見されるが、果たして有効な策なのだろうか。炎上トラブル対応の専門家が考察する。 - その謝罪、逆効果かも……炎上発生時における「3つの心得」
ネットが普及し、いとも簡単に「炎上」が起きる世の中になった。炎上の火種を見つけたとき、初動の対応がずさんであるほど、不手際がさらに広く拡散されて悪い評判が広まってしまう。そうならないために、どのように対応すべきなのか。ブラック企業アナリストの新田龍氏が解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.