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PayPay副社長「金融サービスのユーザー増やしキャッシュレスのトップに」(2/2 ページ)

キャッシュレス市場はソフトバンクグループのPayPay、楽天グループ、ドコモ・アマゾン連合の3強が激しくぶつかり合う形になる。この「激戦区」でどう戦おうとしているのか。PayPayの安田正道副社長兼金融事業統括本部長に聞いた。

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独自にデータを管理 

 個人情報の流出に伴い、LINEヤフーは総務省から行政指導を受けた。データ管理の問題について安田副社長は、以下のように説明する。

 「PayPayは、個人情報の管理では一定の基準を満たしていることから、昨年1月にCBPRシステム(Cross Border Privacy Rules/APEC越境プライバシールールシステム)の認証を取得しました。日本国内では5社目です。PayPayは独自にデータ管理を強化しているので、データが外部に流出することはないと思います。プロダクトの開発は基本的には内製化しているので、外部依存は極めて少ない。このため、下請け社員によるデータの持ち出しのリスクも低いのです」

インバウンドの決済環境も整備

 アジアからの訪日外国人が増えている流れを受けて、海外旅行者(インバウンド)が日本でPayPayを通して決済できる環境を整えることを目的に、以前から連携していた「Alipay+(アリペイプラス)」に加えて、「HIVEX(ハイベックス)」との連携を開始。昨年の10月から台湾の決済サービスを利用するユーザーが一部のPayPay加盟店で使えるようになった。

 「HIVEXとAlipay+の2つのネットワークによって、インバウンド需要を獲得していきたいと思います。現在PayPayではHIVEX、Alipay+合わせて、アジアを中心に11カ国、計18サービスで使えるようになりました。今後は日本人が海外に出るアウトバウンドでもPayPayが使えるように検討を進めていきたいと考えています」

ITが苦手な利用者への対応

 デジタル化が急速に進むと、そのスピードについていけない人が一定の割合で出てくる。若者、高齢者に関係なく、デジタルデバイド対策が求められている。

 「この問題は(PayPayの)中山一郎社長もこだわっているポイントです。アプリの登録から本人確認など、それぞれの手続きのステップの中で、どこで多くの人がつまずいて止まったかのデータを集めていて、ボトルネックが見つかった箇所はステップを改良しています」

 ユーザーファーストを前提とした地道なUI/UXの改善により、ユーザーの層を拡大して利用者の増大につなげられるという。

ユーザー獲得競争で勝ち抜けるか

 日本のキャッシュレス比率は、経済産業省が算出した2023年のデータによると39.3%(126.7兆円)にまで拡大してきている。政府は25年までにこの比率を40%にする目標を掲げている。

 キャッシュレスの内訳は、クレジットカードが83.5%(105.7兆円)、デビットカードが2.9%(3.7兆円)、電子マネーが5.1%(6.4兆円)、コード決済が8.6%(10.9兆円)。2023年の39.3%は、コロナ禍前の19年の26.8%と比べると着実に増えてきているものの、韓国の93.6%、中国の83.0%、英国の63.9%(いずれも2020年の数値)と比べると日本のキャッシュレス化は大きく遅れている。

 ここ数年は銀行や資金移動業者が使いやすいアプリを開発。ポイントを付与することでユーザーを味方に付けようとしている。日本政府も「未来投資戦略2017」で、2025年までにキャッシュレス比率40%を目指す方針を立てていて、このペースで進めば目標を達成できそうだ。

 MMDLab研究所が1月に、18歳から69歳までの男女2万5000人を対象に「2024年1月決済・金融サービスの利用動向調査」を実施した。

 クレジットカードは、79.9%が「利用している」と回答。どこのクレジットカードを使用しているかを聞いたところ(複数回答可)、「楽天カード」が53.7%と最も多く、次いで「イオンカード」が20.8%、「PayPayカード」が20.1%となった。次にQR・バーコード決済の利用を聞くと、72.8%が「利用」と回答。利用しているQR・バーコード決済(複数回答可)は、「PayPay」が64.5%と最も多く、次いで「楽天ペイ」が34.4%、「d払い」が29.3%だった。

 キャッシュレス市場は、PayPay、楽天グループ、ドコモ・アマゾン連合の3大勢力によるユーザー獲得競争がさらに激化しそうだ。その中で勝ち抜いていくには、他のグループにまねのできない魅力的なサービスをいかに提供できるかにかかっている。

 安田副社長は「買い物の決済だけでなく、証券、銀行、保険などより幅広くPayPayを使ってもらえば、同じシステムの中でお金が回っていくエコシステムができあがる。そういう形になれば理想的だ」と話す。PayPayとしては、独自のサービスにより、利用者数をさらに伸ばしたいところだ。


安田副社長は「買い物の決済だけでなく、証券、銀行、保険などより幅広くPayPayを使ってもらえば、同じシステムの中でお金が回っていくエコシステムができあがる。そういう形になれば理想的だ」と話す

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