ドンキの“固すぎる”Tシャツがじわじわ売れている 開発者が生地の厚みにこだわったワケ(2/2 ページ)
ドン・キホーテのユニークなTシャツが、じわじわ売れている。2023年11月に発売した「エレファントTシャツ」(3289円)は、生産の遅れから発売日が約2カ月ずれ込んだため、当初は苦戦していた。しかし、今年に入って消費者の認知が少しずつ広がっている。
社内からは反対意見も
開発時、徹底的に肉厚で固いヘビーウェイトTシャツを目指したという向さん。加工で生地自体を固くする方法もあったが、固さを長期間持続させるため、原料である糸を生かす方法を探したという。
しかし、製造を手掛ける協力会社にとって、こうした試みは初めてのことだった。そのため、なぜ生地を肉厚で固くする必要があるのか、を理解してもらうことに苦労したという。また、多くの糸を使用する分コストも高くなるため、社内からは反対意見もあった。こうした声に対して、「より生地が肉厚で固いヘビーウェイトTシャツにはニーズがある、と説得し続けました」(向さん)
複数の協力会社の協力を得て試作を繰り返し、太い糸を密度を詰めて編み立てることで肉厚かつ固い生地を実現。構想から約4カ月かけて製品化した。生地の固さや重厚感から力強くて肌も丈夫な象を連想し、「エレファントTシャツ」と命名したという。
エレファントTシャツは生地が固いため、繰り返し洗濯してもへたりにくい特徴もあるそうだ。「サンプルを3カ月間着回し、30回程度洗濯しても生地は頑丈なままでした」(向さん)。現在の洗濯回数は50回を超えているそうだが、多少毛羽立ちはでるものの生地自体はへたっていないという。
エレファントTシャツは全国の店舗で販売しており、購入者は20〜40代の男性が多数を占めている。中目黒・渋谷・池袋など、都心店舗の売り上げが特に高いそうだ。向さんは「ファッションへの関心が高い人が多い地域だからでは 」と分析する。
購入者から「生地の固さは申し分ない」「1枚でもインナーでも着られるので使い勝手は良さそう」と好意的な声がある一方で、「肩幅が狭い」「着丈が少し短い」といった意見も。今後はこうした声を受けて、さらなる改良を検討中だという。
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