クリエイターやプランナーに伝えたい いいアイデアには「寄り道」が必要なこれだけの理由:令和の無駄学(1/2 ページ)
読者の皆さんは最近、寄り道していますか? 実は、寄り道はアイデアや企画を考える際に多くのメリットをもたらします。本記事では、寄り道の持つ可能性を考察してみましょう。
連載:令和の無駄学〜僕らにはもっと無駄が必要だ〜
合理的で効率化が求められる社会。どんどん便利になる社会。何不自由なく生きられる社会。しかし、それと逆行するように人々の幸福度は下がっている。
もっと豊かで人間らしい暮らしを得るには、時間的な余白や、一見どうでもいいような機能、生活必需品ではないものの購入など、いうなれば「無駄」が必要なのである。無駄こそ心にゆとりをもたらし、無駄こそ周囲へのやさしさにつながる。真の豊かさを求める上での最強の武器である「無駄」について、社会を解剖していく。
世の中が加速度的に便利になる中、効率は良くなったものの“面白さ”が失われてしまった……。だからこそ、今の時代には「無駄」が必要なのである!
そんな考えのもと鼻息荒くはじまった本コラム。第3回目となる今回は「寄り道」についてご紹介します。
読者の皆さんは最近、寄り道していますか? 過ごしやすい季節になってきましたが、仕事帰りなどにふらっとどこかに立ち寄るする時間を持つことができていますでしょうか。
実は、寄り道はアイデアや企画を考える際に多くのメリットをもたらします。本記事では、寄り道の持つ可能性を考察してみましょう。
どんなに忙しくても「寄り道」をすべき、これだけの理由
私事ですが、昨年子どもが生まれ、今年から保育園に通うようになったのですが、いかんせん朝が特に忙しい……。起きてから、子どもの世話をしつつ、自分の身支度、朝ご飯の準備や片付け、そして仕事の準備を済ませ、子どもを保育園に送り届ける。そして、仕事を始める頃にはもうへとへと、なんてこともよくあります(世のお父さん、お母さん、本当にお疲れさまです)。
そこで私が取り組むようになった「寄り道」は、朝外食。自分の朝ご飯の準備や片付けがいらないのはもちろんですが、どたばたしていて曖昧になってしまいつつあった、家庭と仕事の間の“区切り”をしっかりと付けられるようになりました。
そのおかげで、私が失いつつあった朝の企画を考える時間が、手元に戻ってきた実感があります。脳科学者の茂木健一郎氏によると、朝目覚めてからの3時間は、脳が最も効率よく働く「ゴールデンタイム」だといわれています(※1)。朝の時間にどんなにバタバタしていても、朝外食をするとゴールデンタイムを取り戻し、クリエイティブな仕事としっかり向き合えることから、一日の仕事や企画の精度も上がっているように感じています。
※1:日本文芸社 茂木健一郎 著『眠れなくなるほど面白い 図解 脳の話』
他にも、得意先が京都にあり月に何度か足を運ぶことがあるのですが、そのときには、あえて目的の駅よりも一駅手前や一駅先に寄り道して、目的地まで歩くようにしています。
これは、ダイエットや運動のためではありません。京都に来ている修学旅行生や外国人観光客などの楽しそうな顔を見ながら、「自分も楽しく提案しよう!」とモチベーションを上げています。また、スマートフォンなどを見ずに歩くことで、その後の得意先での提案内容を端的に頭の中で整理する時間として活用しています。
実際に、ジャーナリストのフェリス・シャブル氏が「ザ・ニューヨーカー」誌に寄稿した記事「歩くことはなぜ、私たちの思考に役立つのか」によると、散歩によって記憶力や注意力の検査結果が向上するといわれています(※2)。最寄り駅で降りてすぐに得意先に行くのではなく、「寄り道」することで、自分の企画提案をより良いものへと導いてくれているように感じます。
※2:ザ・ニューヨーカー『Why Walking Helps Us Think』
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