JR東日本「みどりの窓口削減凍結」に、改めて思うこと:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/4 ページ)
JR東日本は5月8日、定例社長会見で「みどりの窓口の削減方針を凍結する」とした。3年前の440から209まで減らしており、2025年までに70%程度に減らす方針だった。しかし混雑解消には、凍結ではなく増やす必要がある。オンライン予約とチケットレスは便利だが、改めて思うことがある。
窓口に並ばない旅は快適ということ
<事例1>
先日の大型連休前半に奈良を旅した。新横浜駅から京都駅まで東海道新幹線「のぞみ」に乗り、京都駅から近鉄奈良駅まで近鉄特急ビスタカーの2階席に乗った。帰路は近鉄の観光特急「あおによし」と東海道新幹線「のぞみ」を乗り継いだ。どの列車も空席が多かったから、完全な需要回復に至っていないように思う。
東海道新幹線はオンライン予約システムの「スマートEX」を使い、モバイルSuicaにひも付けて改札口をタッチで通過した。近鉄特急の指定券は「近鉄アプリ」で予約購入し、乗車時はモバイルSuicaを使った。ちなみに宿泊は東横インで、こちらもアプリで予約、決済済み。フロントで会員証のバーコードをかざせばチェックイン/チェックアウトができる。便利な世の中になったと思う。
<事例2>
事例1の少し前、3月14日に日帰りで秋田県の横手に行ってきた。山形新幹線「つばさ」で東京駅から新庄駅へ。奥羽本線の各駅停車に乗り継いで横手駅へ。駅の近くで「横手やきそば」を食べて、帰りは北上線に乗って北上駅へ。東北新幹線「はやぶさ」で東京に戻る。この旅は「キュン・パス(「・」は「ハート記号」、以下同)」を使った。
「キュン・パス」は、JR東日本のオンライン予約サイト「えきねっと」限定のきっぷで、正式名称は「旅せよ平日!JR東日本たびキュン・早割パス」という。有効期間は1日で、新幹線を含むJR東日本全線、青い森鉄道線、いわて銀河鉄道線、三陸鉄道線、北越急行線、えちごトキめき鉄道線のうち直江津〜新井間と、JR東日本BRT(バス高速輸送システム)に乗り降り自由だ。また特急や新幹線の指定席を2回まで利用できる。
私はえきねっとで「キュン・パス」と「つばさ」と「はやぶさ」を予約決済して、新橋駅の券売機で発券した。紙のきっぷだから自動改札のない駅でも下車できる。
これらの鉄道の旅で窓口に並ぶ必要はない。スマートフォンで切符の予約も乗車もできる。本当に便利な世の中になった。ここまでにする技術開発は大変な苦労があったと思う。技術者、関係者の皆さんに感謝だ。
<事例3>
感謝といえばもうひとつ。2024年4月1日から、JR東日本の「指定席券売機」で「クレジットカードで購入したきっぷの払い戻し」ができるようになった。従来は窓口か「話せる券売機」の対応だった。しかし「話せる券売機」は書見台にきっぷを並べてオペレーターに目視してもらうという謎の手順があった。私は、先ほどの2023年11月の本連載でこの手順を挙げ、「窓口と同じ所作ができないなら、指定席券売機は窓口の代わりにならない」と指摘した。
きっと同じことを思っていた人も多かっただろうし、それをJR東日本の担当者も知って改良してくれたと思う。「これは仕様です」と放置せず、アップデートしていく。ITサービス本来のあり方だ。今後もこの勢いでユーザーインターフェースを改良してもらいたい。
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