祖業復活か、二の舞か イトーヨーカ堂×アダストリアの新ブランドをプロはどう見る?:磯部孝のアパレル最前線(2/7 ページ)
セブン&アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカ堂が、肌着などの一部を除いて衣料品事業から撤退し、食料品を中心に展開していく方針を示したのが2023年3月のこと。そのわずか1年後の今年2月、アダストリアと手を組んだライフスタイルブランド「FOUND GOOD」をスタートした。
改革を繰り返すも……
2015年には、同じセブン&アイ・ホールディングス傘下である、そごう・西武とプライベートブランド「SEPT PREMIERES(セットプルミエ)」を立ち上げた。「すべての人に、上質を。」をブランドコンセプトに掲げ、30〜40代女性をメインターゲットに設定。ファッションデザイナーのジャンポール・ゴルチエ氏や高田賢三氏とのコラボレーションを発表した。
また、同じく2015年に雑貨専門店「Francfranc」を運営するバルス(現:Francfranc)と共同で、インテリアショップ「BON BON HOME(ボンボンホーム)」をオープン。幅広い年代を想定したベーシックなインテリア雑貨、親子向けのキッチンやガーデニング用品、寝具、ソファなど約3000商品を取りそろえた。ところが2017年にどちらのブランドも廃止している。
2022年7月には、イトーヨーカドー幕張店(千葉市)の大規模リニューアルを実施。子育て世帯を意識した「時短ワンストップショッピング」を掲げ、衣食住に関わる生活必需品を1階に集約させた。これはまとめ買い需要を効率的に取り込もうとする同社の首都圏店舗における初の試みだったが、この挑戦から1年も経たないまま、アパレル事業の撤退に至ったのだ。
こうして振り返ると、イトーヨーカ堂は衣料品事業において多くの改革に着手するものの、いずれも数年で見切りをつけている。業績回復を急ぐあまりに結果を性急に求めすぎ、改革の方向性がぶれてしまったのではないかと思わざるを得ない。
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