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祖業復活か、二の舞か イトーヨーカ堂×アダストリアの新ブランドをプロはどう見る?磯部孝のアパレル最前線(4/7 ページ)

セブン&アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカ堂が、肌着などの一部を除いて衣料品事業から撤退し、食料品を中心に展開していく方針を示したのが2023年3月のこと。そのわずか1年後の今年2月、アダストリアと手を組んだライフスタイルブランド「FOUND GOOD」をスタートした。

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アパレル小売りがプロデュース業に乗り出すワケ

 アダストリアのようにアパレル小売り企業が、プロデュース業に乗り出す例としては他にも、ワールドがベイシアやマックハウスと、ビームスがアルペンやしまむらと取り組んだ例がある。なぜアパレル小売り企業は、プロデュース業を手掛けるのだろうか。

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なぜアパレル小売りがプロデュース業をやるのか(提供:ゲッティイメージズ)

 アパレル小売り企業がプロデュース業に乗り出す場合、プロデュース側が商品の販売まで担うケースはなく、売れ残りリスクは取り組み先が持つのが通常だ。また、商品作りをプロデュース側が担うケースも少ない。今回の場合、MD設計の供給で商品の問い合わせ先もアダストリアでないことからすると、別のサプライヤーや商社が商品を生産し、品質リスクも担っているようだ。

 アダストリアや他のアパレル小売りにしても、「商品を作って売る」という通常の商いでは利益が大きい分、商品の売れ残りリスクも生じる。プロデュース業についてはそれらのリスクが発生せず、話題となって商品が売れさえすれば、他企業からも同様の相談がくるケースも考えられる。売上高という金額面では大きくはないものの、運用できれば確実に利益となる、という目論見があるのだろう。

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プロデュース業はリスクが少なく、リターンも期待できる(提供:ゲッティイメージズ)

 しかも、今回の取り組みではアダストリアという社名は出てきても、生活者へ直接アピールするのはFOUND GOODという、全く新しいネーミングのブランドだ。アダストリアが持つ複数の既存ブランドとバッティングする心配もなく、商品の売れ残りリスクもない。万に一つ、うまくいかず撤退となってもアダストリア側が受けるダメージは少ない。

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