審査・担保不要で「最大100万円」 PayPayの“借りない資金調達”は何がすごいのか:決済データ活用で与信(1/3 ページ)
PayPayが決済データを活用した新ビジネス「PayPay資金調達」を開始。データを使って加盟店の将来の売り上げを予測、その一部を買い取る形で資金を提供する。PayPayを使えば使うほど多くの資金が調達できるようにすることで、店舗のPayPay利用をさらに促進するのが狙いだ。
PayPayが決済データを活用した新ビジネスに乗り出した。「PayPay資金調達」はデータを使って加盟店の将来の売り上げを予測、その一部を買い取る形で資金を提供する。店舗側の資金調達ニーズを満たすためのサービスだが、それだけではない。PayPayを使えば使うほど多くの資金が調達できるようにすることで、店舗のPayPay利用をさらに促進するのが狙いだ。
「何よりもキャッシュレス決済の拡大が目的です。資金調達という付加価値をつけることで、加盟店によるPayPay決済の利用をさらに促進できます」と、PayPay資金調達を立ち上げた金融事業統括本部金融戦略本部の柳瀬将良本部長は語る。
PayPayの「借りない資金調達」 店舗側のメリットは?
今回のサービスをPayPayは「借りない資金調達」と銘打っている。「加盟店の声を聞くと、突発的な資金需要はあるものの、金融機関からの借り入れには手間や心理的抵抗感があることが分かりました」と柳瀬氏。借り入れではなく売り上げの早期現金化という形にすることで、店舗側の心理的ハードルを下げる効果を狙っている。
サービスの主なターゲットは中小店舗だ。「PayPayの加盟店の中でも、QRコード決済のみを導入しているような、比較的小規模の店舗がメインターゲットです」と柳瀬氏は言う。年商の規模でいうと、数千万円から数億円程度の店舗層をイメージしている。こうした店舗では、突発的な資金ニーズが生じた際、金融機関からの融資を受けるハードルは小さくない。
店舗オーナーからすれば、突発的な資金ニーズに対し、審査や担保が不要で、PayPayのアプリ上でボタン一つで申し込める手軽さは魅力だ。通常の融資なら申し込みに必要な情報を集めたり金融機関に足を運んだりする手間がかかるが、それが省ける。精算も月次のPayPay売り上げから自動で行われるため、店舗側が口座振替の手続きをしたり、精算のタイミングを気にしたりする必要もない。店舗側にとっては資金調達の心理的・事務的な負担が大幅に軽減されるわけだ。
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