インタビュー
なぜ人は「3分のドラマ」にハマるのか BUMPが刺激する“非合理的な欲求”:5年後、9兆円市場に?(3/5 ページ)
今、にわかに盛り上がる「ショートドラマ」産業。コンテンツの特色と成長性、そして日本のコンテンツ産業全体にあたえるインパクトとは何か。
ライバルはNetflixではない
ショートドラマというジャンルが成長するに当たって、競合となる既存産業はどこになるのか。NetflixのようなOTT(Over The Top、インターネットを通じてコンテンツを配信するストリーミングサービス)かと思いきや、そうではないという。
「よく『Netflixなどを利用している層からリプレースさせるのか?』と聞かれますが、僕は全然違うと思っています。その市場よりも電子書籍やスマホゲームの市場の方が大きく、かつ、BUMPのターゲットと親和性が高いといえます」
スマホゲームの国内市場規模は約1兆3000億円(2022年)、電子出版市場は5013億円(2022年)だ。この2つを合わせると2兆円に届きうるのに対して、日本の動画配信市場は5305億円(2022年)にとどまる。
また、「OTTのユーザー層」と「スマホゲーム・電子書籍(漫画)のユーザー層」は性格が大きく異なるという。
後者のユーザー層はより短い時間で楽しめるコンテンツを求め、1回当たりの課金額が低いものを好む。例えば、休日には一日中寝転がりながらSNSや漫画アプリを楽しむ一方で、Netflixのようなサブスクサービスに加入することには高い心理的ハードルを感じている――といったように。
従量課金制で、コンテンツが短く区切られ、スマホでサクサク見れるショートドラマは漫画アプリなどの消費体験により近いというわけだ。
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