なぜ人は「3分のドラマ」にハマるのか BUMPが刺激する“非合理的な欲求”:5年後、9兆円市場に?(4/5 ページ)
今、にわかに盛り上がる「ショートドラマ」産業。コンテンツの特色と成長性、そして日本のコンテンツ産業全体にあたえるインパクトとは何か。
人間の“非合理的”な消費行動
実際、BUMPのビジネスモデルは漫画アプリがたどってきた歴史を大いに参考にしているという。
「もともと漫画の単行本は書店でのみ販売していた時代から、電子書籍化され、漫画アプリ上で1話単位で販売されるようになりました。漫画アプリでは最初の話から途中までは無料で読むことができ、有料話も小さな課金額で読み進めていけます。これに近い構造を作れたらうまくいきそうだと思いました」(澤村CEO)
ところが資金調達のために投資家を巡っていた時、事業の成長性について疑問を投げかけられることが何度もあった。
投資家の指摘はこうだ。漫画アプリが成長しているのは「漫画はお金を払って読む」という文化が根付いているからであって、映像コンテンツはレンタルビデオ店に行けば100円で映画が見られるし、それでも「高い」からということでサブスクサービスが生まれ、月額1000〜2000円で映画が見放題になった。そんな現代で、同社のサービスは時代に逆行しているのではないか?――と。澤村CEOは当時を振り返る。
「いやいや関係ないですよと(笑)。人間、そんなに合理的に消費してないですよと思って。B2Cのコンテンツで重要なのは欲求を引き出せるかどうかです。
『続きが気になる』という欲求は非常に強いと思っていまして。例えば次の日朝早く起きなきゃいけないのに、読んでいる小説が面白くて眠れなくなってしまったというような経験は誰しもあると思います。
また、ご飯を食べるのも忘れてゲームに没頭する人もいるように、人間の『次(の話や展開)に進みたい』という欲求は睡眠欲や食欲に勝つほど強いわけです。この強烈な欲求に対して、数十円程度の課金は障壁が低いと思ったんですよ。
コンテンツの媒体が漫画なのか、映像なのかというのはあまり関係がなく、続きが気になるものさえ作れれば映像でも課金するはずです。むしろ漫画は字を読まなきゃいけないのに対して、映像は自動的に情報をキャッチできるので、パイとしては映像の方が大きいだろうなと」
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