オムロン、資生堂も……増える「黒字リストラ」 働き手には“チャンス”なのか?(2/3 ページ)
2024年に入り、早期退職者を募集する企業が増えている。人員整理はネガティブなイメージ一色だったが、今は人員整理を行う企業にかつてほどの悲壮感は感じられない。「リストラ」のイメージが以前よりネガティブでなくなったのはなぜなのか、それは働く人にとって本当にチャンスなのか、考えてみたい。
社員の受け止めは「2極化」
早期退職募集を行う企業で働く人たちは、この状況をどう捉えているのだろうか。
すでに募集期間を終えた資生堂は1477人、オムロンは募集人数を上回る1206人の応募があったと発表している。
オムロンでは退職強要面談が行われたと訴える社員もおり、電機・情報ユニオンと同社との団体交渉が始まっている。このような状況から、泣く泣く退職に追い込まれた人も一定数いると考えられる(※)。
一方で社員や元社員の口コミが集まる「OpenWork」には、早期退職募集をきっかけに自ら辞める決意をしたというオムロン社員の書き込みも見られる。募集に応じれば退職金の割り増しもある。「そろそろ潮時だ」「ここにいても仕方ない」と考える人はキャリアチェンジのチャンスだと捉えたのではないか。
なお、オムロンは早期退職募集の対象を40歳以上の正社員やシニア社員としていた。最近は年齢を限定しない募集も出てきているが、まだ40代以降のミドル世代を対象とする会社が多数派だろう。
過去のリストラのイメージが非常にネガティブだったのには、この年齢制限も大いに影響していたに違いない。というのも、10年ほど前までは30代半ばをすぎれば転職は難しいと言われており、「35歳の壁」という言葉があったほどだ。40代や50代で会社を放り出されたら次がないとなれば、絶望するのも当然だ。
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