なぜアジア人は「コストコ愛」が強いのか マニアを生むビジネスモデル:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
日本で大人気のコストコ。2024年11月には国内36店舗目がオープンする。米国では、アジア系の“コストコ愛”の強さが話題になっている。実際に米国でもアジア系の来店客が多く、日本や韓国などへの進出も盛んだ。
なぜアジア系はコストコ愛が強いのか
まずその説は、数字が証明している。米国人全体で見ると、2023年にコストコで一度でも買い物をしたことがある世帯の割合は、実に45%にも達する。そして一度の買い物で使う金額は平均で100ドル(約1万4000円)だったという。
それを踏まえた上で、米国の小売業界を専門とする市場調査会社ニューメレーターによれば、2023年時点で米国の人口でアジア系が占める割合は7%ほどに過ぎないが、コストコ会員の10%がアジア系であることが分かっている。
アジア系の消費者がコストコを選ぶ背景として、世帯人数が一般的な米国人家庭よりも多いことが挙げられる。そのため、まとめ買い需要に応える商品が充実しているコストコが選ばれるというわけだ。
米マーケティング大手ニールセンIQは、コストコに集まるアジア系について「アジア系米国人の人口増加率の高さは、彼らが今後さらに大きな市場の変化を生み出すことになるという見方を裏付けている」と分析した。今後、コストコに集まるアジア系の数がさらに増えそうだ。
米NBCニュースは「アジア系米国人がコストコで買い物をする割合は、一般消費者の約2倍である」という見出しで記事を掲載。コストコがいかにアジア系に愛されているのかを報じている。
YouTubeの登録者が210万人を超えているユーチューバーでアジア系米国人のファン・ブラザーズも、アジア系のコストコ愛について分析。次のような理由を挙げている。
- 大量買いができる
- アジア系はレストランなど小規模なビジネスを行っていることが多いので、仕入れ先としてコストコは重宝する
- アジア人は歩くのが好きだから広いコストコに行きたがる
- 1ドル50セントのホットドッグに、おかわりし放題のジュースが「米国」を感じられる
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