「痛い、脱げる、蒸れる」をニットで解消 オンワード樫山の「靴」が2年で10万足を突破した理由(2/5 ページ)
オンワード樫山のニットシューズブランド「steppi(ステッピ)」が好調だ。どのようにしてヒット商品を生み出したのか。
「機能性」と「美しさ」を両立
ステッピの開発は今から4年ほど前にさかのぼる。当時、米国で市場規模を拡大しているニットシューズブランドがあり、ニットの機能性の高さから浸透が進んでいる背景があった。日本ではニットシューズはほとんど存在していなかったが、米国同様に浸透する可能性がありそうだと考え、開発に着手したという。
求めたのは「機能性」と「美しさ」の両軸をかなえること。第1弾の製品として、女性をターゲットにした「パンプス」を開発した。
ニットは伸縮性や通気性にすぐれた万能素材であり、革や合皮と比較して履き心地の良さを出しやすい。そうした特徴に加え、1本1本の糸に撥水加工を施し、密度高く編み込むことで撥水性も高めた。
さらに、美しさを追求するために革靴を作る際に使用する木型をベースに、革靴を得意とする工場で生産することにした。靴のできを左右する重要な要素となる木型の開発は、最も苦労した点の一つだという。
伸縮性があるニットを使ってパンプスを作るにあたり、100人以上の女性にサンプルを試し履きしてもらいながら、木型の微調整を相当数重ねたそうだ。
また、軽さを求めてアウトソール(底)にはラバーではなく、合成ゴムを使用した発泡ソールを採用。軽量でクッション性が高く、摩耗に強いメリットもある。一方、素材の配合バランスが難しく、温度によって変形してしまうことも。試行錯誤しながら、製品化にこぎつけたという。
そうして、従来の革や合皮のパンプスよりも機能性が高い製品が完成した。「軽い」「伸びが良く足にフィットしやすい」「足が痛くなりづらい」「通気性がいい」「水を弾く」「丸洗いできる」といった特性がある。
実際にパンプスを履いて少し歩いてみたところ、フィット感が良く、脱げにくいと感じた。筆者個人の感覚だが、自身の足にフィットするパンプスを見つけるのは非常に難しく、いつもの足のサイズに合わせても脱げやすい、あるいはキツさを感じて足が痛くなることがほとんどだった。そうした従来のパンプスに比べると、失敗を防ぎやすいかもしれない。
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