“アマゾン頼り”の終焉? ニトリはじめ小売り大手が「自前ECサイト」 勝ち筋は(1/4 ページ)
巨大プラットフォームに頼らない新たなEC戦略。小売り大手が専門性を活かした自社マーケットプレースを構築する背景とは
2024年2月、ニトリが自社独自のマーケットプレース構築を本格的に始めた。このECプラットフォームの大きな特徴は、ニトリだけでなく“他社も出品できる”ことだ。開発や運用を支援しているのが、マーケットプレースのプラットフォームサービスを提供するMirakl(ミラクル、東京都港区)である。
グローバル市場では、小売り企業が自前のマーケットプレースを立ち上げるケースが増えている。Amazonなど大手ECモールへの出品は集客が見込める分、自由度が少ない。しかし、自社ECサイトだけでは品ぞろえで見劣りしてしまう。そこで「第3の選択肢」というわけだ。
今回のニトリの動きを機に、この潮流が日本国内へと入ってくる可能性はあるのだろうか。そうなれば、アマゾンや楽天といった巨大プラットフォームの寡占状態にあるEC業界の流れが変わるかもしれない。
今EC業界に何が起ころうとしているのか。Miraklの佐藤恭平社長に聞いた。
脱・巨大プラットフォーマー
B2Cの国内EC市場はコロナ禍を機に成長したものの、巣ごもり需要の減少により成長は鈍化した。経済産業省の調査によると2023年のB2C-EC市場規模(物販系分野)は14兆6760億円で、増減率は4.83%の増加傾向にあるものの、2020年に20%以上増加した時と比較すると、成長は鈍化傾向にある。
B2CのEC市場は、巨大プラットフォーマーの寡占状態にあるといえる。企業が自前で運営するECサイトは増加したものの、「プラットフォーマーとの競争は厳しく、利益を出せている企業は少ない」と佐藤氏も指摘する。
「今後もこうした状況が続けば、EC市場も携帯電話やコンビニ市場同様、近い将来に成長が鈍化し、成熟期を迎える可能性がある」と危惧したうえで、EC市場の持続的な成長には個社のECサイトの伸長が不可欠だと主張する。
「巨大プラットフォーマーによる市場の寡占と、取引・顧客データの独占という現状を打開する必要がある。日本政府も欧米に追従する形で、デジタルプラットフォーマーへの規制を強化している。これはEC市場全体の健全な成長促進につながるだろう」(佐藤氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
書類でよく見る「シヤチハタ不可」、シヤチハタ社長に「実際どう思ってますか?」と聞いたら意外すぎる答えが返ってきた
ハンコで国内トップメーカーのシヤチハタが、2025年に創業100周年を迎える。気になっていた質問をぶつけてみた。インタビュー後編。
外国人が「ポケモン金銀」を今さら買いあさっているワケ
近年、海外における日本のレトロゲーム需要が高まっている。
「うどんみたいな布団」が突如爆売れ、Xで16万いいね 「売れたらラッキーくらいに思ってた」と担当者
Xで「万バズ」となった「うどん状の布団」。一体どのような商品なのか。
「ゼルダ」実写化に見る、任天堂IP戦略の“理想像”とは
任天堂が『ゼルダの伝説』を実写映画化する。最近ゲーム以外へのIP活用の動きが目立つ任天堂だが、そこにはある「理想像」があるはずだ。
インバウンド殺到の渋谷ドンキ 「月に1億円」売れるお菓子とは?
東京都で最も訪日客が訪れる街、渋谷のドン・キホーテでは何が一番人気なのか? インバウンド需要の最前線を取材した。


