「オン」「ホカ」 新興メーカーが北米を席巻
地域別で減収が最も顕著だった北米市場では、新興のシューズメーカーが注目を集めている。
ナイキが利益率を押し下げてでもマーケティング費用を増加させたのは、競合他社との激しい市場争いが背景にあると考えられる。かつて、ナイキといえばアディダスやプーマが競合の筆頭であった。スポーツの文脈ではアシックスなどと鎬(しのぎ)を削っていたが、ここにきて「オン」「ホカ」という耳慣れない謎のブランドの台頭も見逃せない。
「オン」(On)と「ホカ」(Hoka)は、どちらもランニング愛好者を中心に人気が高めるシューズブランドだ。ナイキのような大手スポーツブランドに対して独自の強みを持っている。
オンは2010年にスイスで創業した比較的新しいブランドで、米国に株式を上場させている。最大の特徴は特許取得済みの「CloudTec」技術だ。この技術は、ランニング中に着地時の衝撃を吸収し、蹴り出しの際に効率的なエネルギーリターンを提供することを目的としているという。
これにより、ランナーに快適さと推進力を与えるという点が支持されている。また、シンプルでミニマリスティックなデザインも欧州や北米の都市部で人気を博しているという。
ホカはフランスのトレイルランニングシューズブランドとしてスタートし、その後アメリカで業績を拡大させた。ホカの最大の特徴は、厚底ソールとクッション性の高さだ。一般的にランニングシューズは軽さを重視する傾向にあるが、ホカはそれに反して、非常に厚みのあるソールを採用することで、長距離ランニングでも快適な走行を実現している。
そのユニークなデザインがファッション性も兼ね備えており、ランナーだけでなく、日常使用するユーザーも増加しているという。
ナイキとこれらの新興ブランドの違いは「選択と集中」だろう。ナイキは信頼性のあるブランドと広範なマーケティング力でシューズ全般を網羅する巨大ブランドだ。
そうである一方で、オンやホカのような後発メーカーは特定のニッチ市場に特化し、そこから裾野を広げる形で展開している。オンは軽量かつ革新的なランニングシューズ技術で、ホカはクッション性とサポート力が際立っている。
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