ユニクロの不遇期と似ている?
筆者はナイキの苦境について、ユニクロの不遇期と似ていると感じた。ユニクロは、2000年代に「ユニバレ・ユニ被り問題」(自分の服がユニクロとバレたり、他人と同じユニクロの服を着たりして恥ずかしいという問題)により、ブランドイメージを損なったことがある。
しかしユニクロは以下の戦略でブランドを再構築し、復活を果たしたわけだが、これらをナイキに当てはめることで、同様の成果を上げる可能性があるのではないか。
まず、ユニクロは有名デザイナーやブランドとのコラボレーションによって差別化をはかり、ユニクロのベーシックでありふれたイメージを刷新し、ファッション感度の高い消費者層をひきつけることに成功した。
ナイキもすでに数々のコラボレーションを展開しているが、今後さらに新興デザイナーや特定のニッチ市場にフォーカスすることで、限定感や特別感を強化できる可能性がある。
次に、ユニクロが復活した大きな要因として、機能性製品の開発が挙げられる。ヒートテックやエアリズムといった革新的な技術を用いた製品は、消費者に実用的な価値を提供し、他のブランドとの差別化を実現した。ナイキも同様にブランドそのものに加えて機能性を強調した商品をさらに開発・展開することで、消費者のニーズに応えることができるかもしれない。
ナイキは2024年10月に新たなCEOとしてエリオット・ヒルを迎える予定であり、この経営陣の交代が企業の将来にどう影響するかが注目されている。同氏のリーダーシップの下で、ナイキは成長の軌道を取り戻すためにイノベーションを生み出すことができるのだろうか。
ナイキは成熟したブランドである一方で、新興ブランド台頭による相対的な魅力の低下という苦境に面している。この状況から脱するためには、限定品などのブランドに依存した商法の枠組みを超えた新たな戦略や、消費者の機能性志向に対応した製品展開が急務だ。
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