“スタバがある銀行”の集客力はやはりすごかった 渋谷に現れた「緑の店舗」（2/4 ページ）

三井住友銀行が、カフェとコワーキングスペースを併設した新形態の店舗を進めている。2024年5月に1号店の「渋谷店」が、10月7日に2号店の「下高井戸店」がオープンした。同店舗の誕生によって、どんな変化が見られているのか。

[小林香織，ITmedia]

気軽に足を運んでもらい、顧客獲得へ

　キャッシュレス決済の浸透や取引のデジタル化により、銀行の支店に足を運ぶ人は減っているだろう。キャッシュレス決済を中心に生活している筆者は、数カ月に1度コンビニで現金を下ろす程度で、銀行の支店を訪れることがほぼなくなった。そうした環境変化もあり銀行の店舗が変化してきている。

　さかのぼると三菱UFJ、三井住友、みずほの3大メガバンクの店舗数は1990年代にピークに達し、その後は合併などを背景にした支店の統廃合により減少。報道によれば、三菱UFJ銀行は2017年度に515あった店舗が421に（2024年3月末時点）。みずほ銀行も2017年度に約500あった店舗が約310店舗に減っている（2024年7月時点）。

銀行の店舗数は約30年前から減少の一途をたどり、近年は小型化も進む（三井住友銀行提供）

　3大メガバンクのうち早期から統廃合を進めてきたのが三井住友銀行で、2001年の合併を経て2003年にはピーク時の1000店から半減。そこからは大きく数を減らさず、2024年10月現在は約400店舗を運営している。

　近年は店舗の小型化も進む。駅ナカの商業施設やショッピングモール内に支店を移行して面積を縮小、顧客とのタッチポイントを拡充しつつ、運営コストを削減する狙いがある。

コーヒーを飲みに来たついで銀行サービスも受けられる（筆者撮影）

発表会に登壇した三井住友銀行のチャネル戦略部長 泉純氏（筆者撮影）

　そうしたなか、三井住友銀行が「次の一手」として開設を進めるのが「オリーブラウンジ」だ。本来、「用事がないと訪れない場所」である銀行に、人々が日常的に利用するカフェやコワーキングスペースを設けることで、気軽に銀行に足を運んでもらおうというわけだ。

　有人の窓口は平日午後4時までだが、カフェやコワーキングスペースは土日祝日も含めて朝から夜まで営業する。利便性を提供することで顧客数を拡大し、銀行の価値向上につなげていきたいという。

　「支店数を減らすのではなく、新たな形態の店舗への切り替えを進めているのは、対面で相談したいニーズが確実にあるためです。特に、目に見えない金融商品はネット上で比較しても分かりづらいですし、有人のサービスを受けたい方がいるはずです。また、カードが使えなくなったなどの困りごとがあった際も、直接教えてほしいニーズがあると考えます」