「管理職じゃないし……」視座が低い部下 リーダーシップを育む3つのポイント:問いの設定力(2/3 ページ)
ビジネスパーソンの多くは、「言われたことを全うする」、フォロワーシップの意識を持っていると思います。自身が管理職やリーダー層でない限りは、リーダーシップを身に付ける必要はないのでは? と考えている方も多いかもしれません。
今と昔、求められるリーダーシップはどう変化した?
次に中央集権型から自律分散型な組織へと変化する中で、求められるリーダーシップの違いについて見ていきます。
動画学習サービス「GLOBIS 学び放題」では、周囲の人を動かす組織心理的なアプローチの一つとして、「パワーと影響力」を紹介しています。
パワーとは、個人がそれぞれ持っている人々に物事を実行させる「潜在的な能力」のことで、3つの源泉があるとされています。
- 「公式の力(ポジションパワー)」:組織の地位や役職による力
- 「個人の力(パーソナルパワー)」:個人としての魅力が作り出す力
- 「関係性の力(リレーショナルパワー)」:自分の人間関係による力
自律分散型組織において、組織での地位や役職といった「公式の力」の重要性は低減していき、一方で「個人の力」や「関係性の力」の重要性が高まっていくと、私は考えています。
もう一つの影響力とは、人々を実行に向け動かそうとする「プロセスや行動」のことで、6つ存在すると言われています。
- 返報性:恩恵を受けたら、その相手に報いなければならないと感じること
- コミットメントと一貫性:自ら宣言したことと、一貫した行動をとろうとすること
- 社会的証明:他人の評価や行動を指針とすること
- 好意:好意を持つ相手ほど賛同したくなること
- 権威:専門家に指示を仰ごうとすること
- 希少性:手に入れにくいものほど求めたがること
今後AIの活用が進んでいくと、「社会的証明」「権威」「希少性」の重要性は、これまでほど高くはなくなっていくのではないでしょうか。一方で、人対人の関係性により生じる要素、ここでいう「返報性」や「好意」、リーダーとしての姿勢としての「コミットメントと一貫性」は、より重要性が増していくのではないかと考えています。
特に「コミットメントと一貫性」は、本人を突き動かすと同時に、周囲にも影響を与えるものとして重要度が増すでしょう。発言と行動が一致しており、常にブレない判断や行動をしている人には、自然と信頼が集まっていくものです。影響力を持つリーダーに共通している素養の一つです。
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