連載
仕事のミスを隠そうとする部下、掛けるべき「一言」:「キレイごとナシ」のマネジメント論(5/5 ページ)
「申し訳ありません……」。上司から「なぜミスを隠したのか?」と問われ、若手社員は俯いたまま何も答えられなかった。
感情的な部分に問題があるケース
「どうして私が新人に説明しないといけないんですか? 私が新人のときは、こんなに手厚いフォローなんてなかったですよ」
「それに、あいつの態度が気に食わないです。親身になって説明しても、ありがとうの一言も言いませんからね」
このようにKさんが言うなら、問題の根は深い。Kさんに
「ちゃんと説明しろよ。これは君のミスだぞ」
と突き放してしまうと、問題をさらに大きくする。
このように上司は丁寧な対応が必要だ。「ミス」と聞くと、「うっかりミス」をはじめとしたヒューマンエラーしか思い浮かばない人は多い。しかし、そんな先入観を上司が持っていると、部下は安心してミスを報告しなくなる。
「自分のミスじゃないのに、責められるのはいつも自分だ」と思い込み、隠すようになる。
繰り返すが、上司はミスの種類を細かく分解し、部下と一緒に考えることだ。
「申し訳ございません。ミスが発生しました」
部下にこう言われたら、
「何やってんだ! またお前かよ」
「意識が足りないんだよ。ったく!」
と反射的に叱らず、
「分かった。対策をしたら、ミスの発生原因を一緒に考えよう」
と冷静に伝えよう。そうすることで、部下は安心してミスを報告できるようになる。これをキッカケに上司と部下は信頼関係を強めるだろう。もちろん部下の成長にもつながっていくはずだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「お前はどうしたい?」しか言わない上司の自己満足 「考えさせる風」コミュニケーションが招く悲劇
この認識のズレが、若手社員の成長を阻害する要因にもなっている。
部下が相談する気をなくす、上司の無神経な「たった一言」
部下が報連相しようとしたときの上司の何気ない「ある一言」が、部下の心を萎縮させているのだ。
部下から「給料を上げてください」と言われたら、上司のあなたはどう返す?
もしこんな相談を受けたら、決して避けてはいけない。上司がどう向き合うべきか解説する。
「自責思考を持て」という“無敵論法”の危うさ 素直な若手ほど潰れるワケ
上司から「自責の念を持て」「他人のせいにするな」と言われた経験はないだろうか。
“残念な上司”が作る「会議資料」の特徴 ムダをなくす3つの改善策は
会議資料を一目見ただけで、その上司が「できる人」か「残念な人」かが分かる。