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学習塾や脱毛サロンの「いきなり倒産」、なぜ起きる? 消費者が「貸し手」になる共通点(3/4 ページ)

企業の「いきなり倒産」による、突然のサービス停止。こうした倒産で被害にあわないようにするための未然の防止策はあるのか?

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「投資詐欺」には騙されないのに…

 「年利40%の金融商品に投資しないか?」と持ちかけられて、それをうのみにする人はごくわずかだろう。しかし、「金融商品」という単語が「回数券」になり、「年利」という単語が「割引」となるだけで、その“怪しさ”は一気に薄れる。特に学習塾や脱毛サロンといった継続利用型のサービスは、実態のつかみづらい金融商品とは性格が異なるからだ。実際に施設やサービスがあり、破綻する前にサービスの全てを享受できれば、利用者にとって何の問題もない。ただ、「いきなり破綻」した事例において、破綻前に利用者が享受した利益は「後から申し込んだ別の利用者の損失」が源泉となっていることに注意したい。そのため、一種のマルチ商法的な構造になっているといっても過言ではない。

 企業側からすれば、前払いのお金が集まればしばらく資金が潤沢な状態になり、事業拡大や広告宣伝にも積極投資しやすくなる。しかし、前払いのお金は本来サービスの提供に使われるべき“負債”であり、それを広告に使うのは目的外の利用である。

 とはいえ、利用者は銀行のような信用調査は行えず、資金の使途すら追うこともできない。それは利用者のスキル面の問題に加え、非上場企業の場合は財務諸表が公開されていないことがほとんどだからだ。つまり、悪質な企業にとって前払いをしてくれる利用者は、「信用調査なしでお金を貸してくれ、使途についてもとやかく言わない夢のような金融機関」となる。

 街で広告を見かける会社は何となく信頼できると思いがちだ。しかし、その莫大な広告費がどこから来ているのかを意識しておかなければ、「社名を知っている」「広告をよく見かける」「有名人がイメージキャラクターを務めている」といった表面的な情報に惑わされ、結果的に倒産リスクを過小評価してしまうことにつながるだろう。


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