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「ミズノらしさ」を消して2000万円売れたシューズ 思い切った決断の背景テストマーケティングから見るプロダクトの近未来(1/2 ページ)

企業にとって「ブランド」は大きな強みです。特に多くのファンを抱えているスポーツブランドであれば尚更でしょう。しかし、それが時に「選ばれない理由」になることもあります。

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「テストマーケティングから見るプロダクトの近未来」

企業の新商品・サービスの挑戦を支援するプラットフォーム、Makuake。ここでは日夜、新たなコンセプトを持った商品が企画され、ユーザーの厳しい目にさらされている。多くの支持を集めた商品にはどのような特徴があるのか。本連載では既に終了したプロジェクトを振り返り、成功の要因からプロダクト開発の近未来を探る。

著者プロフィール:早川将司(はやかわ・まさし)

株式会社マクアケ MIS事業部 新規事業開発プロデューサー

1986年生まれ。2009年法政大学卒業後、ブライダルプロデュース会社、マーケティング会社、デザインコンサルティングファームを経て2020年に株式会社マクアケに参画。入社後からはMakuakeでの先行販売時におけるコンサルティングだけでなく、新商品やサービスの企画・開発段階から新規事業立ち上げに至るまで一貫した支援を行うMIS事業部にて新規事業開発プロデューサーとして従事。


 企業にとって「ブランド」は大きな強みです。特に多くのファンを抱えているスポーツブランドであれば尚更でしょう。しかし、それが時に「選ばれない理由」になることもあります。


ミズノ「らしくない」靴がヒット(提供:マクアケ、以下同)

 ミズノのスニーカー「THE MIZUNO ENERZY」はアスリート向けに開発された商品で、優れたクッション素材とそのユニークなデザインが話題を呼び、発売直後から売り切れが続出するほど人気を博しました。


アスリート向けに開発されたTHE MIZUNO ENERZY。しかしビジネスシーンでは使いづらいデザインだった

 しかしそのデザイン性の高さは裏を返すと、普段使いを求める層にはアプローチすることが難しいものでもありました。特にビジネスシーンにおいては、ブランドの主張が強いデザインは選びにくいと思う人が多いのではないでしょうか。機能性には興味があっても、ブランド特有の見た目のスポーティさが購入のハードルになっているのです。


デザインスケッチ

 ミズノはこのシューズはスポーツシーンだけでなく、普段の生活でもその性能を発揮できるシューズだと考えていました。そこでミズノは、思い切った決断をします。ブランドのアイデンティティーともいえるデザインを「引き算」し、新たなターゲット層に向けたミニマルなシューズを開発したのです。


THE MIZUNO ENERZY ULTRA LIGHT

 新しいシューズ「THE MIZUNO ENERZY ULTRA LIGHT」では、既存の「THE MIZUNO ENERZY」に搭載されたクッション機能を日常生活向けにチューニングし、デザインも大胆に変更しています。ロゴを目立たせず、装飾も排除し、どんな服装にもなじむミニマルなルックスに仕上げ、スポーティで特徴的なスニーカーから、「いつでもどこでも履けるシューズ」への転換を図りました。


ヒール部分

カラーバリエーション

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