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万博・日本館で採用された「雪駄スニーカー」 開発時にこだわった“考え方”:テストマーケティングから見るプロダクトの近未来(2/3 ページ)
万博で採用されている日本風のスニーカー。その開発には、単に「伝統×革新」を実現するだけではない工夫があった。
「視点を変える」を意識したアプローチ
undaは「伝統×最新テクノロジー」をキーワードに、「雪駄」のデザインにスニーカーの快適性や機能性を融合させた新しい履物です。ブランドデビューとなった応援購入サイト「Makuake」のプロジェクトでは、初回で2000万円を超える支援を集め、注目されました。
しかし多くの人にとって、雪駄は“和装に合わせるもの”、もしくは“長時間履くと足が痛くなるもの”といったイメージが強いでしょう。そんなイメージのある履物を、どのようにして、ストリートでも履ける“おしゃれな日常の履物”に変えていったのでしょうか。
goyemonの2人は、undaのデザインやコンセプトを決める上で単に表層的なデザインをするのではなく、“視点を変える”アプローチを取りました。まず、メインのターゲットをストリートカルチャーが好きな若者と定め、機能面においては、雪駄が抱える履き心地の悪さを、エアソールの採用によって解消。デザイン面においては、エアが見える洗練されたデザインや、スタイリッシュな見た目にこだわりました。
さらに、プロダクトの周辺ストーリーとして、日本の履物の特徴である、左右対称で、かかとが出るといった特性をデザインに取り入れました。それにより、単なる和を感じるファッションではなく、独自性が高く、同時に商品に共感できる、若者のための新しい文脈のプロダクトとして仕立てていったのです。
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