花王「前髪マスカラ」が10代女子に人気! なぜ彼女たちの心をつかんだのか:出荷数は162万本(2/6 ページ)
花王の「ケープ FOR ACTIVE 前髪ホールドマスカラ」が売れている。発売後1年間の出荷数量は当初計画比で1.7倍、累計出荷数は162万本以上に。前髪のキープに特化したヘアスタイリング剤が、なぜ好調なのか取材したところ……。
なぜ「前髪特化型マスカラ」を開発したのか
花王が前髪マスカラの開発に着手したのは、多くの人がまだマスクを着用していた2022年。当時からヘアマスカラの市場は伸びており、すでに競合から多くの製品が発売されていた。
ヘアマスカラとは、マスカラのようなスティック型のヘアケア製品で、白髪を隠せる色付きのものと、アホ毛(髪の表面から飛び出してしまう短い毛)や前髪の乱れを整えるものがある。
「前髪をキープしたいというニーズが高まったのは、コロナ禍がきっかけです。マスクを付けると目元から上しか見えないので、目元と前髪で自分らしさを表現したいと考える若い女性が増えました。さらに、マスクによって湿気が発生して前髪が崩れやすくなるため、キープ力の高いスタイリング剤のニーズが高まりました」(藤井氏)
そうした背景からヘアマスカラ市場が拡大しており、ケープは後発組だった。「成長しているヘアマスカラ市場にどう食い込むか」と思考を凝らし、急ピッチで開発を進めた。
「他社の製品は前髪にも使えるのですが、アホ毛を抑える点を訴求した商品が目立っていました。そうしたなかで、“ケープらしさ”を生かした商品にしたいと考え、前髪特化型として差別化を図りました」(藤井氏)
ケープは「今日も自分らしさをキープする」をコンセプトにしており、キープ力を追求してきた歴史がある。2019年にはケープ市場最強のキープ力を誇る「フォーアクティブ」シリーズを発売し、缶が黒いことから「黒ケープ」の愛称で若年層を中心にファンを拡大してきた。
「黒ケープは『前髪がキープできる』として、指原莉乃さんなどタレントやアイドルの方にSNSで紹介され反響を得ていました。『黒ケープ=前髪キープ』という認識が高まっていたこと、若年層に前髪をキープしたいニーズがあること、ヘアマスカラ市場が成長していることの3点を踏まえ、前髪マスカラの開発にいたりました」(藤井氏)
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