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ETC障害で大渋滞、それでも「通行料は払って」 高速道路会社の“謎理論”高根英幸 「クルマのミライ」(2/4 ページ)

4月、ETCのシステム障害で94万人のドライバーが足止めされる大渋滞が発生。高速道路行政はさまざまな部分で時代に合っておらず、今回の件も、NEXCO中日本が高速料金の後払いを求めているのは不適切。もっと企業イメージを高められるやり方もあったのではないか。

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有料期間ははるか先の2115年まで

 高速道路は当初、建設費を通行料金で償還していく方法が採られていたが、それでは需要の高い路線しか建設されなくなってしまう。過疎地でも、高速道路建設によって生まれる新たな需要や観光資源が見込まれることから、全国の建設費を通行料でまとめて償還する「料金プール制」が導入された。


東名高速は名神高速に続いて完成した高速道路で、1968年に部分開通し、翌69年には全面開通を果たしている(写真:AdobeStock)

 高速道路料金については償還期限を何度も延ばし、現在は2115年というはるか未来まで延長されている。「いつかは無料になる」と言われて通行料金を支払い続けてきたドライバーを愚弄(ぐろう)するようなものではないだろうか。

 こうして償還期限が先延ばしにされれば、実質的には、永遠に無料にならないのと同じではないだろうか。

 日本の有料道路でETCが導入されたのは2001年のことだ。大型連休や帰省のシーズンは料金所を起点に長い渋滞が発生することから、海外ではすでに導入されていたノンストップ料金収受システムの導入が長年検討されていたが、なかなか実現しなかった。


ETC車載器は、アンテナによる無線通信で道路側と交信することで通行料金の支払いを行う。専用のETCカードにより料金の引き落とし、マイレージサービス、深夜・休日などの割引も用意された(写真:AdobeStock)

 ちなみに日本でETCの導入に時間がかかったのは、クレジットカードとチケットによる支払いが定着していたことと、偽造紙幣などの問題が少なかったという背景があった。また、見方を変えると、欧州では区間ごとではなく、全区間あるいは年間で固定の料金設定が一般的だったことから、日本のETCほど高度化する必要がなかったのだ。

 しかしプリペイド式のハイウェイカードに偽造問題が発生したこともあり、渋滞解消を目的にETCは導入された。

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