本当は怖い五月病 「すぐ辞める人」より「疲れている人」の方が実は危ない:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(3/4 ページ)
ゴールデンウイークが終わり、退職代行サービスを利用する人が増えるとの報道がされています。いわゆる「五月病」です。しかし、実は「やめる決断」ができた人より問題なのは、「疲れている」のに、放置して会社に出社し続ける社員です。
借金だらけの現代人はどう休むべきなのか
新入社員以外の社員に蓄積疲労の症状が認められた際、解消する方法は連続した休暇を取ることに尽きます。本来は、ゴールデンウイークなど連休前にストレスチェックを行い、その結果に従って連続した休暇を取るのがベストです。
もちろん20代後半や30代になると責任を伴う仕事も増えるため、なかなか連続した休暇を取れず、カレンダー通りに飛び石で休み、連休明けも体を酷使せざるを得ない場合もあるでしょう。
しかし、心的な疲れほどややこしいものはありません。緊張や精神的な負担を伴う仕事は、本人が自覚する以上に疲れをもたらします。心的な疲れは、適度な運動や精神的なゆとり、遊び、お喋り、笑いなど、癒すための“資源”が不可欠です。とりわけ「何もしないでぼーっと過ごす」「動きたくなったら動く」という自由な余白のある休みを意識的に作ることは極めて重要です。
ときには連休中の過度な遊びや、スケジュールが盛りだくさんの旅行が、精神的な興奮からストレスとして蓄積される場合もあります。現代の過剰な情報化社会では、「SNSを見るだけ」でストレスになることも。休み明けに「余計疲れた」「やる気が出ない」とぼやく人が多いのも、「仕事のストレス」+「休まない休暇」が引き金になっている可能性は十分にあります。
情報社会に翻弄される「今」の働く人たちは、「誰もが24時間365日開店状態」といっても過言ではありません。「何も縛られない自由時間」を連続的に取る優先度を、もっともっと高めなければならないのです。ですので「5月はゴールデンウイークがあったのに、有給休暇で休むなんて無理」と思わせない空気を、チームで作ってください。
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