なぜ成果がでないのか──「DX人材の育成」で陥りがちな7つの失敗とは(1/4 ページ)
DX推進の鍵となる人材育成で、約4割の企業が「成果を実感していない」現実がある。この記事では、研修を実施しても現場で活用されない、目的が曖昧なまま進めてしまうなど、典型的な失敗パターンを紹介。再構築のポイントも紹介する。
DXの取り組み状況について、「成果が上がっている」と回答する企業が増える一方で、いまだに約4割の企業が「成果を実感していない」と答えている。特に人材育成においては、リテラシー教育は一巡したものの、約半数の企業が「改善の余地がある」と感じており、研修の満足度は高いが現場の成果に結びついていないという課題が浮き彫りになった。
「単なる研修内容の見直しではなく、現状把握から課題構造化、解決策検討まで体系的に進める戦略的アプローチで、停滞したDX人材育成を再起動させることが重要だ」と、パーソルイノベーション(東京都港区)TECH PLAY Academyプロダクトマーケティングマネージャーの飯田哲也氏は話す。
DX推進の必要性が叫ばれて久しいにもかかわらず、なぜ多くの企業で成果が出ていないのか。DX推進やDX人材の育成においてよくある失敗や、成功に向けたポイントを詳しく紹介する。
約9割の企業「DX人材育成が難しい……」 なぜ?
多くの日本企業でDX推進が進められているが、設定した目的に対して成果を実感できている企業は約6割にとどまり、4割は成果を実感できていないという二極化の状況が見られる。
情報処理推進機構(IPA)の「DX動向2024」によると、DX推進の取り組みについて「成果が出ている」と回答した企業は2023年度で64%。2021年度の50%から改善しているものの、米国の89%と比較すると依然として大きな差がある。
こうした格差の背景には人材育成の課題がある。DX推進の阻害要因として約9割の企業が「人材の獲得・育成」を挙げており、「部門を横断した連携」「DX推進に係る役割と責任の明確化」などの組織問題が顕著に表れている。
DX人材育成は戦略策定から推進体制構築、実際の人材育成まで段階的なプロセスで進める必要がある。多くの企業では、経営層からの危機感発信やデジタル化の必要性を訴求する「リーダー・火付け役」の設置、現場の課題認識があるスキル保有者を集めた「推進者の確保」までは達成できている。しかし、推進委員会やプロジェクトで実践に参画する「コアメンバーの育成」や「組織全体への拡大」でつまずいているとされる。
こうした状況から、生成AIなどの技術変化で過去の育成プログラムが陳腐化したり、DX推進が小さな成功から組織的な取り組みへとフェーズが変わったりする中で、従来の研修内容や手法を根本から見直す「再構築」が求められている。
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