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BYDの軽EVは日本で売れるのか 苦戦が予想される“これだけの理由”高根英幸 「クルマのミライ」(3/6 ページ)

中国のBYDが日本で軽自動車のEVを投入すると話題になっている。しかし、日本で売れるのかは微妙だ。その背景には、モノづくりに対する根本的な考え方の違いがある。品質に対する姿勢が従来と変わらないなら、日本ではあまり受け入れられないだろう。

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安全性が高いバッテリーでも過信は禁物

 BYDが採用しているブレードバッテリーはリン酸鉄リチウムイオンだ。リン酸鉄リチウムバッテリーは、高性能な三元系と比べるとエネルギー密度は低いものの、材料コストが低く、安全性が高いといわれている。確かに電極や活物質の違いで熱暴走しにくい特性を獲得しており、サイクル充電回数も三元系の3〜4倍はあるのは強みだ。

 それでも安全とは言い切れない。有機溶剤を使っている以上、熱暴走しにくいだけで、発火すれば消せないのは同じである。実際、昨年立て続けにBYDのディーラーが火災に見舞われている。出火原因は不明というものもあるが、新しく建設されたディーラーで火事が起きるということは、漏電などが原因である可能性は低い。つまりブレードバッテリーでも車両火災は起こり得るのだ。


BYDが誇るブレードバッテリー。角型電池を細長く伸ばしたような形状で、エネルギー密度に劣るリン酸鉄リチウムバッテリーの弱点を形状でカバーしている(筆者撮影)

 EVが火災事故を起こしても「自分のクルマは大丈夫」と根拠のない自信(確率論から、周囲のEVが燃えることで、逆に自分は大丈夫とでも思うのだろうか)でEVを乗り続けるケースも中国では少なくないようだ。自分の身内がEV火災に遭えば心配し、不安になるだろうが、他人のクルマであれば深刻に受け止めないのかもしれない。

 世界最大のバッテリーメーカー、CATLの会長が昨年中国で開催された「2024年世界動力電池大会」において、「2023年のEVは、1万台に対して0.96台は火災が発生する可能性を抱えている」と明言した。

 これは問題解決を提唱する意図での発言だったようだが、堂々と自社製品の欠陥を認めるようなことは日本メーカーではあり得ない。そのような品質での販売は、日本のメーカーでは通常考えにくい。

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