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BYDの軽EVは日本で売れるのか 苦戦が予想される“これだけの理由”高根英幸 「クルマのミライ」(4/6 ページ)

中国のBYDが日本で軽自動車のEVを投入すると話題になっている。しかし、日本で売れるのかは微妙だ。その背景には、モノづくりに対する根本的な考え方の違いがある。品質に対する姿勢が従来と変わらないなら、日本ではあまり受け入れられないだろう。

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国内バッテリー工場の徹底した品質管理

 先日、日本のバッテリーメーカーの生産工場を見学する機会に恵まれた。日産/三菱車やホンダ車、マツダ車向けにリチウムイオンバッテリーを供給しているAESCジャパンの座間工場だ。同社は元々、日産自動車がリーフのバッテリーを生産するために設立したオートモーティブ・エナジー・サプライ(AESC)だったが、2019年に中国資本に売却された。

 古くからの日産車ファンなら名称から想像できる通り、旧日産座間工場の跡地の一部が所在地だ。ここでは日産車と三菱車のEVとPHEV向けのリチウムイオンバッテリーを生産している。

 AESCジャパンの松本昌一CEOの話を聞くと、中国資本になったとはいえ、従来の品質管理を徹底した姿勢を守っていることが伝わってくる。17年間で生産したEV用バッテリーは100万台規模であるのに対し、出火事故ゼロという実績が、高い品質を裏付けている。

 その生産工場内はかなりのレベルまで自動化されており、人の手で組み付けや加工する部分は確認できなかった。


AESCジャパンのバッテリーセル製造工程の一部。フィルムに活物質を塗布して圧縮して固めたシートのロールをカットして重ねることでセルの構造が出来上がる。電極を追加して重ねたものが写真下の状態。これをラミネート容器で包み電解液を注入して密封するとセルが出来上がる(画像提供:AESCジャパン)

 であれば、日本で生産しても中国で生産しても変わらないと考える人もいるかもしれない。しかし、実際には同じ生産機械を使ったとしても、品質には差が生じるのである。

 また、工場内を歩きながら生産工程の説明を受けた際に知ったのだが、完成したバッテリーセルは1週間はエイジングとして寝かされるという。それによって内部に不純物があれば発見しやすくなるそうだ。日産のEVの安全性の高さは、こうした取り組みが安全性の高さに寄与しているのは確かだ。

 他のバッテリーメーカーもエイジングによって特性を安定させることはあるようだが、これほど長く保存することはないという。中国の電池メーカーなどは、寝かせるよりすぐに出荷した方が生産効率が高まると考えるだろう。

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