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ペアーズは“運命”を届けられるのか 韓国で仕掛ける出会いの再定義(2/4 ページ)

マッチングアプリ「ペアーズ」を運営するエウレカが韓国に本格進出した。国内で高いシェアを誇るペアーズは、新機能「本音マッチ」や女性向け新プラン「安心便利パック」が好評で、オフラインイベントにも注力する。同社の新戦略を山本竜馬社長に聞いた。

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新機能「本音マッチ」は累計150万アカウントが利用

 国内のマッチングアプリ市場は、ペアーズやTinderを運営する「Match Group」(米国)、with(ウィズ)やOmiai(オミアイ)を運営する「エニトグループ」(東京都渋谷区)、タップルを運営する「タップル」(同)の3社が大部分を占めている。


マッチングアプリ市場はコロナ禍で成長し、現在は安定産業になっている(出典:タップルのプレスリリース)

 タップルの調査によると、オンライン恋活・婚活マッチングサービス市場は、2020年〜22年のコロナ禍で622億円から790億円に成長したという。その後は、安定的な成長が予測されている。東京商工リサーチによると、マッチングアプリの運営会社は、2020年の6社から2025年は28社に増加。一方でニーズの停滞や淘汰の兆しも。上述した3社の寡占により、参入障壁の高さが課題となっている。

 「競合との差別化を図る上で、ペアーズは利用者間の長期的な関係づくりにフォーカスしています。より自分に合う相手を発見しやすいことが重要なポイントで、『プロフィールの充実』と『豊富な検索機能』にこだわっています。AIによるレコメンドやプロフィール項目による検索、趣味や価値観を示す『マイタグ』を起点に探すなども可能です」

 検索機能は、各社が独自性を打ち出すための重要な要素で、例えば、ウィズは心理学をもとにした無料の価値観診断や性格分析などが充実している。ペアーズでは、より相性の良い相手を発見するための新機能として、「本音マッチ」を2024年4月に始めた。


本音マッチに回答すると、自身と回答が一致する相手がおすすめされる(エウレカ提供、以下同)

 まず、「連絡頻度」「日常生活での金銭感覚」「スキンシップの頻度」「子どもの必要性」など16項目から3つを選んで、回答を入力。回答内容は非公開だが、裏側でAIが分析して一致した回答をもとに、適した相手が推薦される仕組みだ。


プロフィールに書きづらい項目として「連絡頻度の理想」や「居住地のこだわり」などがあがった

 「20代のユーザーとのワークショップを通じて、『プロフィールに書きづらい価値観がある』『プロフィールの情報だけだと会ってからギャップが生じる』という声が多く聞かれました。そこで、『どんなことを事前に知りたいか』と質問して、その回答をもとに16項目を設計しました」

 本音マッチが3つとも一致する確率は非常に低く、かなり相性の良い相手だという。提供開始から1年弱で累計回答アカウントが150万に達し、回答率は女性58%、男性70%と半数を超えている。マッチングしてもメッセージのやり取りが発生しないケースもあるが、本音マッチが一致すると、そうでない場合と比較して、メッセージの発生率が11%増加することも分かっている。

女性向け新プラン「安心便利パック」も好調

 警察庁によると、2024年のSNS型投資・ロマンス詐欺の認知件数は1万237件(前年比で6391件増、約2.7倍)と急増。その接触手段の一つとして、マッチングアプリが使われており、プロフィールや利用目的を偽ってユーザーに接触する人がいるようだ。

 そうした懸念が高まっていることもあり、ペアーズでも関連施策を強化している。2024年10月には、女性向けの「安心便利パック」をリリース。「いいね!」をした相手だけに顔写真を公開できる「限定公開写真機能」や、もらった「いいね!」を絞り込んで確認できる「いいね!フィルター機能」など複数機能を搭載し、月額560円で提供したところ、利用者が急増しているという。


低価格の女性向け「安心便利パック」が好調だ

 「女性向けのサブスクプランは、月額1950円の『レディースオプション』を以前から提供していました。これに加えて、安心や便利に特化した『安心便利パック』を低価格で売り出したところ、2025年3月の女性サブスクプランの購入数が、前年同月比で3.5倍に増加しました」

 ユーザーインタビューでは、「何よりも安心安全がほしい」という声が多く聞かれたという。LINEなど他のツールにやり取りが移行した後は、対処が難しくなるものの、水際対策として本人確認方法を強化したり、アプリ内外で注意喚起をしたり、機械的に大量生成されたアカウントを検知できる仕組みを取り入れたりしているそうだ。

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