「国産VS.アジアン」選ぶ理由が変わった タイヤ市場の二極化とメーカーの打ち手:高根英幸 「クルマのミライ」(2/5 ページ)
クルマを支えているタイヤ。実績のある国産タイヤメーカーのほか、近年はアジアンタイヤも広まっている。安さと安心でユーザーの選択は二極化している。ブリヂストンやダンロップなどは、時代の変化に合わせてどのように技術や戦略を進化させているのか。
アジアンタイヤの台頭が日本市場にも影響
なぜこれほどまでにタイヤのラインアップが複雑化したのかというと、同じ車種でもユーザーの志向によって最適なタイヤが異なるからだ。
タイヤメーカーや販売店のWebサイトを見ると、タイヤサイズや車種、目的などによって最適な商品を提案してくれる仕組みになっている。また、価格比較サイトなども活用し、目的に合ったタイヤをより安く購入するのが最近のトレンドだ。
日本のタイヤ市場は長年、日本製と欧州製、米国製で構成され、特に日本製タイヤが圧倒的なシェアを占めていた。歴史あるタイヤメーカーが5社もあり、それぞれに特徴を持ち、純正装着からアフターマーケットまですべての車種をカバーしていたのだ。
しかし、世界の自動車市場が成長すると、新興国でもタイヤメーカーが立ち上げられ、現地での供給体制が整備されていく。さらに産業の発展により、輸出体制も整っていった。
そうしてアジアンタイヤが世界中のタイヤ市場に進出していったのだ。もちろん日本市場も例外ではない。アジアンタイヤの中には、日本のタイヤメーカーから技術協力を受けて開発や生産の技術を習得したところもある。
例えば、韓国のハンコックタイヤは戦前、ブリヂストンの子会社として設立され、1960年代には横浜ゴムと技術提携することで急速に技術力を高めることに成功した。
一方、市場をにぎわせているアジアンタイヤは、ここ十数年の間に誕生した新興メーカーによるものだ。欧州のタイヤメーカーを買収するなどして技術力を習得し、かなりの低価格で「使えるタイヤ」を供給しており、それが世界中で利用されてきたのだ。
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