「国産VS.アジアン」選ぶ理由が変わった タイヤ市場の二極化とメーカーの打ち手:高根英幸 「クルマのミライ」(3/5 ページ)
クルマを支えているタイヤ。実績のある国産タイヤメーカーのほか、近年はアジアンタイヤも広まっている。安さと安心でユーザーの選択は二極化している。ブリヂストンやダンロップなどは、時代の変化に合わせてどのように技術や戦略を進化させているのか。
ブリヂストンのビジネス戦略に見る、時代の変化
ブリヂストンは、仏ミシュランと世界首位を争うタイヤメーカーだ。かつては国内の純正装着でも高いシェアを誇り、トヨタの乗用車ではブリヂストン製のタイヤを希望するユーザーも少なくなかった。
しかしトヨタでは現在、さまざまなタイヤメーカーが新車用のタイヤを納入しており、ブリヂストンの採用率は低い。それどころか、ハンコックや台湾のナンカンタイヤなどを採用するケースもある。純正タイヤは、自動車メーカーの要求を満たしている証しでもあり、多くのメーカーがその採用や承認を誇りとしている。
かつてはかなりの割合でブリヂストンが純正装着だったのに、近年さまざまなタイヤメーカーが採用されているのは、ブリヂストンのビジネス戦略によるところが大きい。そもそも純正装着タイヤは品質を保証できて納入量も膨大であるが、利幅は小さい。
工場の稼働率やブランドイメージには貢献するが、今やブリヂストンにとってはそのどちらも安定しているのだろう。純正装着にこだわらなくなった印象がある。新車の原価率が上昇している現在、自動車メーカーとしてはコストダウンしなければならないので、自然とブリヂストン装着率が低下しているようだ。
さらに昨年、中国のバス・トラックタイヤ市場から撤退した。タイヤメーカーが乱立し、価格競争も激しい中国の商用車タイヤ市場では、ブリヂストンを選ぶユーザーは少数派だった。さまざまな業種の日本企業が中国から撤退している諸事情もあり、経営資源を他のところに集中させる選択をしたようだ。
その代わり、中国では高級車向けタイヤに絞って展開することで、ブリヂストンの高品質なタイヤを求めるユーザーの需要に対応し、収益性を高める方針だ。
日本ではリトレッドタイヤを含めてバス・トラックタイヤ市場に積極展開しており、タイヤ管理サービスを利用する企業も増加中だ。
最近では、乗用車向けにもサブスクが導入されている。これはメンテナンスやパンク補償なども含めたもので、タイヤの知識に乏しいドライバーには安心できるサービスだろう。
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