伊藤園は“黒歴史”をそっと塗り替えられる? 炭酸コーヒーが広がりにくい背景(2/4 ページ)
伊藤園では、2年越しのリベンジとして、炭酸コーヒー飲料「FIZZPRESSO(フィズプレッソ)」シリーズを発売した。SNSでは「ここ数年でトップクラスにヤバい」と投稿され話題になったが、新製品はどんな点が改良されたのか。伊藤園に聞いたところ……。
「炭酸コーヒー」がウケない理由
エスプレッソコーヒーを炭酸で割った飲み方は欧州が発祥と言われ、南イタリアのカラブリア州では半世紀以上も前から親しまれているという。「エスプレッソトニック」という名称で、日本でも夏場に売り出すカフェや喫茶店があるほか、スターバックスでは「アリビアーモ エスプレッソ トニック」というノンアルコールカクテルを販売している。
RTD(Ready to Drink <レディ・トゥ・ドリンク>)では、飲料メーカー各社が同領域に参入した歴史がある。ネスレでは、2006年に「ネスカフェ スパークリング・カフェ」を発売。サントリー食品インターナショナルでは、2012年に「エスプレッソーダ」、2013年に「ボス ブラックスパークリング」を発売したが、比較的短期で終売するなど市場に定着しなかった。
その最たる理由が「酸味の強さ」だと言われている。欧州などで親しまれる「エスプレッソトニック」は、酸味の強いエスプレッソを使う傾向がある。それを再現すると、日本ではあまり好まれにくいようだ。
「欧州では、エチオピアやタンザニアといったアフリカ系のコーヒー豆を浅煎りの焙煎で飲むことが多いようです。現地では、酸味が強い味わいを“華やかな香り”として表現し、多くの方に好まれています。2023年に発売した『ガッサータ』は、欧州の嗜好(しこう)を反映して商品化したところ、日本では『酸っぱい』と評価されてしまいました」
多くの日本人は、ブラジルやマンデリンなどのコーヒー豆で、かつ深煎りで酸味控えめのコーヒーを好む。そこで、日本人の嗜好に合うよう改良を加えたのが、新製品の「フィズプレッソ」シリーズだ。
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