伊藤園は“黒歴史”をそっと塗り替えられる? 炭酸コーヒーが広がりにくい背景(3/4 ページ)
伊藤園では、2年越しのリベンジとして、炭酸コーヒー飲料「FIZZPRESSO(フィズプレッソ)」シリーズを発売した。SNSでは「ここ数年でトップクラスにヤバい」と投稿され話題になったが、新製品はどんな点が改良されたのか。伊藤園に聞いたところ……。
飲みやすくして「間口」を広げる
今回発売したのは、無糖の「ビターブラック」と、ライム風味の有糖「ライムトニック」の2種類。それぞれにターゲットが異なり、「ビターブラック」はコアなコーヒーファン、「ライムトニック」は普段あまりコーヒーを飲まない人をターゲットにしているという。
「以前の『ガッサータ』は、市場には定着しませんでした。しかし、『ガッサータが好きでたまらない』というコアファンが存在するのは事実で、当社宛にその思いがつづられた長文メールが届くほどです。こうした方は、タリーズブランドの基幹商品である『BARISTA'S BLACK(バリスタズブラック)』の愛飲者とは異なると考えます。ここで言うコアファンは、いろいろなコーヒーショップを訪れる無類のコーヒー好きで、飲んだことがないコーヒーのアレンジメニューがあれば、絶対に注文するような方を想定しています」
そうしたターゲット像を踏まえ、「ビターブラック」は極力酸味を抑えた無糖のコーヒー炭酸に改良。一方、間口を広げる狙いがある「ライムトニック」は、爽やかなライム風味と砂糖の甘みで飲みやすさを強調しつつ、エスプレッソの余韻が楽しめる味わいに仕上げた。
「社内で承認が下りなかった時期も含めて、実は2年ほどの開発期間がありました。原料や焙煎など、あらゆる点を見直しましたが、社内でも賛否両論がありました。『以前の製品より酸味が抑えられた』という高評価もあれば、『コーヒーの味わいが薄まった』といった声も。今回は、『酸味を感じずにおいしく飲める』ことを最大の指標にして商品化しました」
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