合弁で失うもの、得るものとは? 三井住友と組んだマネーフォワード、新社長が語る“第二章”の戦略(3/5 ページ)
三井住友カードとの合弁会社「マネーフォワードホーム」が本格始動。祖業である家計簿アプリは今後どう進化するのか。新社長・金坂直哉氏が中立性の担保やOliveとの連携戦略を語った。
新たな収益モデルの構想
――プレミアム課金の価格改定を発表しました。それ以外の収益モデルの進化についてはいかがですか。三井住友グループとの連携で新たなマネタイズの可能性は生まれるのでしょうか。
短期的に言えば、今月発表した価格改定がありますので、それによってさらにプレミアム課金の売り上げが増えてくると思います。その先で言うと、それぞれ今いくつか仮説を立てており、課金以外に広告モデルも同じくらいに伸ばせると思っています。ただ、これから無料ユーザーをしっかりと増やして、Oliveと連携しながら新しい価値でマネタイズもやっていきたいと考えています。
――マネーフォワードホーム事業はEBITDAマージンが31%と最も収益性が高い一方で、成長率は直近でマイナスと、他事業に比べて低い状況です。ビジネスドメインのように利益を削ってでも大きく投資して成長率を高める考えはありますか。
赤字が出るような事業ではありません。2024年の売り上げが47億円でEBITDA14.8億円と、マージンが30%ぐらい出ています。LTV(顧客生涯価値)とCAC(顧客獲得コスト)の関係や費用対効果を重視し、やみくもな利益追求も、CPA(顧客獲得単価)度外視の投資も行いません。健全な経営の下、トップラインを伸ばしながら収益性を維持していきます。
中立性への懸念と説明責任
――三井住友カードが49%出資する合弁会社となったことで、ユーザーからは「中立性が失われるのでは」という懸念の声も上がっています。創業以来の強みであった各金融機関との等距離関係が変化しつつあります。
ユーザーにとって不利なものを資本関係で推進するのは中立であるとはいえないでしょう。しかし、ユーザーにメリットがあるものをエビデンスやロジックに基づいて提案することは、中立性に反しないと考えています。ユーザーのメリットを損ねないことが最も重要だと思っています。
Oliveはコンビニなどで最大20%の割り引きが受けられるなど、実際にユーザーメリットが大きいサービスです。今も例えばOliveと、電気と、Vポイントが貯まる保険(ライフネット)などが並んでいますが、ユーザーにしっかりとエビデンスやロジックに基づいて、「こちらの方がいいのではないですか」という提案をしています。これは中立性に反していないと思います。
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