合弁で失うもの、得るものとは? 三井住友と組んだマネーフォワード、新社長が語る“第二章”の戦略(4/5 ページ)
三井住友カードとの合弁会社「マネーフォワードホーム」が本格始動。祖業である家計簿アプリは今後どう進化するのか。新社長・金坂直哉氏が中立性の担保やOliveとの連携戦略を語った。
金融データの取り扱いと同意の考え
――ユーザーの金融データの取り扱いについて、現在約1700万人のユーザーが蓄積してきた全金融データが、SMBCグループのマーケティングや与信判断に利用される可能性はないのでしょうか。具体的なデータ共有のルールを教えてください。
現状、SMBCさんや三井住友カードさんにマネーフォワードMEのデータをお渡ししているということは一切ありません。データの考え方は、ユーザーがデータ提供に同意する場合は、何らかのベネフィットがあることを理解した上で同意するはずです。そうした同意があれば、相手がSMBCさんであろうが三菱UFJさんであろうが、ユーザーの許可に基づいてAPIでデータをお渡しするということです。
――最近はサービス利用の前提として半ば強制的に同意を求められることが増えています。マネーフォワードMEの基本機能は使えるが、新サービスを受ける際にのみ個別同意を求めるといった、より細かい同意をお考えでしょうか。
規約そのものを変更して既存ユーザーのデータを渡すようなことは考えていません。新たなサービス、例えばローン商品などを利用する場合には、「このサービスを受けるために三井住友カードへ情報提供してよいか」という個別の許可を明確に取得するなど、必ずワンステップ挟む運用とします。
――データ活用の観点から、PFMサービスの次のステップとしてはどのような機能開発を想定していますか。他社に先駆けて実現したい革新的な機能はありますか。
AIアドバイス系のものがまだ出てきていないと思うので、まずはそこだと思います。米国のフィンテックベンチャーでMonarch Moneyという会社があります。将来の資産目標をユーザーが設定して、データに基づいてコスト削減の提案をするサービスです。うちもそういったものを作れれば、近い価値は提供できるのではないかと思います。
――具体的なサービス開発のロードマップはいかがですか。ユーザーからは「最近は三井住友カード関連の機能ばかり」という声も聞かれますが、今後どのようなスケジュールで新機能を投入していく予定でしょうか。
ユーザーさんにワクワクしてもらえるプロダクトになってほしいと思います。今年の残り5カ月の間にユーザーさんにワクワクをお届けできるかが大事だと思いますし、そのためにも私たちがまずワクワクしてないとダメだと思うので、そこを頑張ってやっていきたいと思います。9月にはシェアボードという、パートナーとか夫婦間で情報を共有できる仕組みも出します。三井住友カード関連ではない取り組みも進んでいます。
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