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「世の中の文字は小さすぎて、読めない!」 800万人が直面する“老眼問題”と働き方の落とし穴スピン経済の歩き方(2/6 ページ)

高齢化が進む日本では、2040年ごろに約半分の人が老眼になる見込みだが「老眼鏡をかけたくない」人も多く、生産性の低下が懸念される。そんな問題を解決には……。

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老眼にはつらい業務の数々

 会議や打ち合わせで配布される資料の文字が小さすぎて、「ここに記してあるように」と説明されても、一体どこの話をしているのか分からない。

 部下から「ご確認よろしくお願いします」と送られてきたExcelやPowerPointのデータに使われているフォントが異常に小さくて、そのたびに拡大せざるを得ず、余計な手間を強いられる。

 そこで、あのCMの渡辺謙さんと同じく「世の中の文字は小さすぎて、読めない!」と心の中でキレている人が続出しているのだ。

 ……という嘆きの声を聞いた若者たちは「そんなに大変だったら、老眼鏡でもハズキルーぺでもかけりゃいいだけじゃん」と感じるだろうが、実はここに知られざる日本の「病巣」がある。

 それは「老眼なのに老眼鏡をかけたくない」問題だ。

 2024年9月、全国101店の眼鏡専門店を運営するビジョンメガネが40〜60代の男女106人を対象に「老眼鏡をかけることに抵抗がありますか」とアンケート調査を実施したところ、40代の67.5%、50代の40.5%、60代でも40.7%が「ある(とても+やや)」と回答した。


「老眼鏡にかけることに抵抗があるか」(出典:ビジョンメガネのプレスリリース)

 この“悪あがき感”は他の調査からもうかがえる。ニコン・エシロールが2023年、45歳以上の消費者を対象に遠近両用レンズの普及率を国別に比較調査したところ、フランスは70%、スペインは67%、独は61%、米国は54%に対して、日本はわずか44%だった。


遠近両用レンズの普及率(出典:ニコン・エシロールのプレスリリース、以下同)

遠近両用レンズに対する日本人の意識

 日本では、遠近両用レンズの便利さを知っている人は9割を超える一方で、使用したことがなく、必要性も感じていない人が44%に上っている。

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