コラム
ポイント経済圏の知られざる主戦場 データは小売業の未来をどう変えるのか?:「ポイント経済圏」定点観測(3/7 ページ)
楽天、Vポイント、Ponta、dポイントの4大勢力が展開するポイントビジネス。その本質は、単なる顧客の囲い込みではなく、別の意図があった……。
データビジネスとしての共通ポイント
2014年10月、楽天は実店舗でのポイントサービスを開始した。スタート時の加盟企業は約10社。大丸松坂屋や出光興産が主要パートナーだった。当時すでにTポイントとPontaが市場を二分しており、楽天は後発組だった。
Tポイントには1業種1社という制約があり、複数のポイントカード導入も認められていなかった。楽天はTポイントに入らなかった企業や、より柔軟なデータ活用を求める企業を開拓した。
楽天の最大の特徴は、オンラインで蓄積したデータ基盤にある。楽天市場を持つ楽天は「インターネット経由でコミュニケーションできる顧客数が圧倒的に多い」(林氏)からだ。TSUTAYAの会員カードから始まったTポイント、ローソンを中心に展開したPontaとは、データの出発点が異なっている。
現在、共通ポイント市場は4大勢力が競い合う。楽天ポイントは1億IDを超えており、Vポイントは統合により累計で1億5400万ID、Pontaの会員数は約1億2000万人、dポイントはNTTドコモの約1億件の契約を基盤に展開している。
各社のデータ活用戦略も多様化している。Pontaは「15の価値観クラスター」で消費者を心理的属性によってセグメント化。dポイントは「スーパー販促プログラム」で加盟店のCRMを支援している。
楽天の場合、「オンラインで取得できるデータの豊富さは大きい」と林氏は言う。楽天は70種類以上のサービスから得られるデータと、実店舗でのPOSデータを統合しているからだ。
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