「東急沿線」はなぜ住みたい街に選ばれるの? ランキングで見る“暮らしやすさ”の秘密(3/4 ページ)
「SUUMO住みたい街ランキング」ではJRの駅が上位を占めているが、私鉄という観点から見てみるとどんな結果となるのか?
考え抜かれた東急の街作り
東急グループは2022年9月に創立100周年を迎えた。京急電鉄や西武鉄道など、昔から事業を展開してきた私鉄グループもあるが、東急グループは今や日本を代表する私鉄の一つとして注目される存在となっている。
東急グループが安全・安心な鉄道輸送と並行して取り組んできたのは、人々が快適に暮らせる環境の整備だ。東急が線路を敷く前、現在の沿線地域は農村部、場合によっては山林にすぎなかった地域もあった。そこを郊外の住みやすい環境として整え、多くの人々に供給し続けてきたのである。
JRや他の私鉄では鉄道事業が第一であり、人の集まる場所に線路を敷いてきた。しかし、そのような地域では快適な住環境を整えるのは難しかった。これに対し、東急グループが重視してきたのは「暮らしたくなる街を作ること」。住宅地だけでなく生活に欠かせない商業施設も整備することで、沿線を持続的に発展させてきた。一から街づくりを手がけてきたことが、東急沿線の街の統一感につながっている。
武蔵小杉はJR南武線や横須賀線との乗換駅ではあるものの、2024年度の乗降人員を見ると、東急東横線が15万3161人、目黒線が5万1637人であり、JR東日本の乗車人員10万7559人を大きく上回る。
中目黒や自由が丘、学芸大学や日吉も、東急東横線の駅として発展を続けてきた。かつて学芸大学には東京学芸大学があり、日吉には慶應義塾大学日吉キャンパスがある。こうした学校の誘致によって沿線の価値を高め、さらに比較的豊かな層が暮らしやすい地域作りが行われてきた。
二子玉川や三軒茶屋、たまプラーザはいずれも田園都市線沿線に位置する。かつて景勝地として知られた二子玉川園周辺は、田園都市線が東京メトロ半蔵門線と直通運転を始めたことで、都心へのアクセスが大幅に向上した。これにより、周辺地域の多摩田園都市開発も進み、快適で利便性の高いエリアへと成長していった。特に、たまプラーザに代表される多摩田園都市は、多くの人がマイホームの地として選ぶ人気エリアとなり、私鉄による宅地開発の模範例とされている。
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