「ディズニー離れ」のうわさは本当か 入園者2700万人と売上のギャップ(3/6 ページ)
東京ディズニーリゾートの入園者数は年間約2700万人で横ばいに見えるが、売り上げは過去最高を更新。猛暑やチケット値上げによる「ディズニー離れ」のうわさと、好調な業績のギャップを解説する。
チケットの値上げで、客層も変化
ディズニーの勢いのなさを感じさせるもう1つの要因として、チケット価格の上昇とそれに伴う不満が挙げられます。
2023年以降は最大で1万円を超える金額となり、年々値上がりしています。入園者数の上限を引き下げたこともあり、1人当たりの売り上げを確保する必要が生じ、結果的にチケット価格の引き上げは避けられませんでした。
しかし、この値上げにより、気軽に訪れるのが難しくなりました。
実際、来園者の年齢構成も変化しています。18歳から39歳の来園者比率は以前の50%から40%へと減少する一方で、40歳以上の比率は20%から30%以上へと増加。こうした数字からも、チケット価格の高騰により、特に若年層にとっては、気軽に楽しめる場所ではないということがうかがえます。
このように、値上げしたことで行きづらくなり、不満の声も相まって、「最近のディズニーは勢いがない」「昔ほど良くない」と言われるようになっていると考えられます。
さらに、長引く円安も、ディズニーが苦戦しているという印象を強めています。
観光庁の調査で、為替の影響で海外旅行の費用が高騰し、国内旅行を選ぶ人が増えていることが分かっています。こうした話を聞くと、ディズニーにとっても追い風のように感じられますが、実際はそうでもないのです。
これには、ディズニーの来園者の多くが、首都圏在住者だったことが大きく影響しています。海外ではなく国内旅行を選ぶ日本人が増えてはいるものの、首都圏の人々にとってディズニーは旅行ではなく、あくまでも日帰りレジャー。
そのため、円安で国内旅行需要が高まっていても、首都圏の人々にとっての旅行先は京都や大阪といった遠方になりやすいのです。
結果、日帰り圏内にあるディズニーは旅行先としては選ばれにくく、行く人が少なくなり、「ディズニーは不調」という印象を与えてしまっていると考えられます。
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