「ディズニー離れ」のうわさは本当か 入園者2700万人と売上のギャップ(4/6 ページ)
東京ディズニーリゾートの入園者数は年間約2700万人で横ばいに見えるが、売り上げは過去最高を更新。猛暑やチケット値上げによる「ディズニー離れ」のうわさと、好調な業績のギャップを解説する。
“SNS映え”でもUSJに劣るディズニー?
近年、関西圏の観光需要が急速に高まっていることも、ディズニーの不人気な印象に大きな影響を与えています。
日本政府観光局(JNTO)のデータでも、関西国際空港の利用者数は2023年以降、特にアジア圏からのインバウンドを中心に急増しています。
これまで東京を訪れる外国人観光客が「ついでにディズニーへ」と足を運んでいた流れが変わりつつあり、インバウンドの一部も首都圏から関西圏にシフトしている状況が見て取れます。
この関西シフトは数字にも表れています。各種報道によると、ホテルの稼働率は高水準を維持しており、宿泊料金も4割ほど上昇。相鉄ホールディングスの2025年4〜6月期の連結決算では、ホテル業の営業収益は21%増の185億円、営業利益は59%増の45億円。大阪・関西万博の影響で、京阪神地区のビジネスホテルの需要が想定を上回ったとされています。
こうした関西圏への観光が盛り上がりをみせる中で、「ついでにUSJにも行こう」という需要も生まれています。これはかつてディズニーが享受していた「東京観光とセットで訪れる」という構図と非常に似ていますが、それが今、USJに奪われつつあるのです。
加えて、SNS映えを重視する若年層の嗜好(しこう)も、USJが有利な理由です。SNSの投稿数を比較すると、USJよりもディズニーのほうが多いものの、USJの強みはその“バラエティーの豊かさ”にあります。
ハリウッド映画やハリーポッター、任天堂のゲームや日本の人気アニメまで、USJにはジャンルを問わず多彩なコンテンツが集まっています。こうしたバラエティー豊かな世界観は、若い世代に「自分の好きなコンテンツを選んで楽しめる場」として支持されており、特に写真を撮って楽しむという観点で高い評価を得ています。
もちろん、ディズニーの「統一された世界観」は、作品やキャラクターに強い思い入れを持つファンにとって大きな魅力であり続けています。ただ、「せっかく行くなら、いろいろな映えスポットを一度に楽しみたい」と考える層にとっては、USJのような空間のほうが魅力的に感じられるのも事実です。
こうした傾向が、若い世代にとっての選択肢としてUSJの存在感を高め、ディズニーの勢いが鈍って見える一因になっていると考えられます。
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