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新人「議事録はAIにやらせました」何がダメなのか? 効率化の思わぬ落とし穴:「キレイごとナシ」のマネジメント論(2/5 ページ)
新人がAIを駆使すれば効率化できる――はずだった。ところが現実は顧客の信頼を失う危険すらある。便利なはずのAIが、なぜ組織のリスクに転じてしまうのか。
AIネイティブ世代の落とし穴
最近の新入社員は、デジタルネイティブを超えて「AIネイティブ」だ。何でもかんでもAIに頼る。
議事録作成、資料作成、メール文面の生成――全てAIに任せようとする。確かに効率的に見えるがしかし、ここに大きな問題が潜んでいる。
AIが出力した成果物を検証する能力がないのだ。
議事録の例で考えてみよう。会議では専門用語や社内の略称が飛び交う。
「来期のKPIは、プロ部に任せることにした……」
「デ研の庄さんに相談して、スケジュールロックしてほしい……」
「うちのPMOチームが、期ナカに飛んだ……」
「KPI」「PMO」が「ケーピーアイ」「ピーエムオー」とカタカナ表記されても、新人は修正しない。プロ部は「プロダクト管理部」の略。それが分からないAIは「プロブ」と表記するしかないだろう。「デザイン研究部」のデ研は「出県」と出力され、「期中」を意味する期ナカは「木中」と表現された。
AIは文脈から推測して文字起こしする。だから名称が誤変換されると、前後のつながりも理解できなくなって意味不明の文章が出来上がる。
しかも新人は会議中、メモを取らないでいた。AIが記録してくれるから必要ないと思っていたようだ。だから検証のしようがない。結果として、録音された音声データをもとに、一つ一つの発言内容を検証しなければならなくなった。
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