上司が部下に「ワークライフバランスを捨てろ」と言ってはいけないワケ:「キレイごとナシ」のマネジメント論(4/5 ページ)
高市新総裁の「ワークライフバランスを捨てる」発言が話題になった。しかし曲解した上司がマネしてはいけないことがある。
平時と有事のマネジメント
ただし、誤解してはならない点がある。繰り返すが、ワークライフバランスは固定的なものではない。大事なのは「バランス感覚」だ。
企業経営にも平時と有事がある。重大なクレーム対応、システム障害、製品リコール。こうした緊急事態では、一時的にワークに大きくリソースを傾ける必要もあるだろう。特に、社会インフラ維持に不可欠な人たちであるエッセンシャルワーカーはバランスを取るのが難しいだろう。
ただ、これは「ワークライフバランスを捨てる」こととは違う。あくまで一時的な調整といえる。突発的な危機が去れば、また適切なバランスに戻すべきだ。
重要なのは、その判断を個人と対話を重ねて調整することだ。上司が一方的に強要するのではない。状況を説明し、協力を求める。そして事態が収束したら、きちんと代休や報酬で報いる。
これがマネジメントの基本である。目的を果たすために、リソース配分を効果的に行う。目標達成のために適切に調整する。この考え方こそが大事なのだ。
上司が示すべき姿勢3つのポイント
では、上司はどのような姿勢を示すべきか? 以下の3つだと私は考える。
- 部下の多様性を認めること
- 成果にフォーカスすること
- 自らが手本を示すこと
第1に、部下の多様性を認めることだ。全員が同じ働き方をする必要はない。それぞれの強みを生かし、弱みを補完し合う。それがチームワークである。
第2に、成果にフォーカスすることだ。労働時間ではなく、生み出した価値で評価する。短時間で高い成果を出す社員を称賛する文化も作っていこう。
第3に、自らが手本を示すことだ。効率的に働き、きちんと休む。仕事も私生活も充実させる。そんな上司の姿を見て、部下は安心して働ける。
「ワークライフバランスを捨てる」のではなく、ワークとライフのバランスを臨機応変に変えていく。その柔軟な姿勢が求められている。
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