なか卯の「床に置かれた食器」問題 企業の沈黙が呼ぶ“将来の波紋”(2/4 ページ)
10月下旬、なか卯での「床に置かれた食器」の写真がSNSで拡散された。その後のなか卯の対応が適切だったようには感じない。では、どのような対応が求められるのか?
根深い「ワンオペ問題」 過去には同グループ企業内で死亡事故も
このコラムの執筆時点で、今回の事案についてはJ-CASTしか報じていない。また、なか卯を運営するゼンショーホールディングスや、なか卯の公式Webサイトでも、本件に関する発表は出ていない。おそらく、多くの人々に「飲食店においては、人手不足が常態化しており、ワンオペ(複数人で行うべき業務を1人でやること)が珍しくない」といった現状認識があり、だからこそ報じるまでもないと判断されたのだろう。
実際にXでも「床ではないが積み上げる状態はある」といった現場の声が見られた。確かに害虫などの異物混入と比べれば、食器、しかも食後のものをトレーごと床に置くことは、衛生面の懸念が少ないかもしれない。
とはいえ、ワンオペが社会問題であることも事実だ。2022年には「すき家」店員が勤務中に倒れ、後に亡くなった事案があった。運営会社は当時、午前5〜9時に1人勤務体制の店舗があると発表。「お客さまがストレスなく店舗を利用できることと、従業員の業務負担を考慮」した結果だとした。なお、すき家側は併せて、体調不良を知らせる非常ボタンを従業員が装着していなかったことから、本部が異変を察知できなかったとも説明している。
炎上はなぜ起こるのか
SNSでは「ユーザーとの認識のズレ」を感じさせる不祥事は、得てして炎上につながりがちだ。今回はさほど炎上せず、ボヤといった形かもしれないが、こうした“火種”を軽んじると、のちのち大きな痛手になる可能性もある。
また、1つの事案だけでなく、積み重ねてアウトと判断されることもある。その点においては、床置きトレーの件もその要素の1つになりかねない。加えて、今回の「なか卯」と先述した「すき家」は別ブランドではあるものの、どちらもゼンショーグループに属している。系列全体の“社風”として、就労環境の是正に前向きではないのではといった印象を消費者に残しかねない。
実際のところ、その疑念は日々積み重なりつつある。ゼンショーとワンオペをめぐる問題は、10年以上にわたり指摘されてきた。にもかかわらず、定期的にこうした事例が伝えられているとなれば、抜本的な解決策が取られていない、もしくは講じても効果がないというイメージが付くからだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
メルカリ、悪質な転売への対策発表 しかし「手放し歓迎ムード」にならないワケとは
メルカリは悪質な転売への対策を発表したが、SNSでは賛辞以外のコメントも多い。ユーザーが問題視していた転売ヤー対策にもかかわらず、なぜ歓迎ムードが弱いのか?
スシローの注文用ディスプレイ「デジロー」は何がすごい? 大画面に盛り込まれた数々の仕掛け
スシローの店舗で続々導入されている、注文用の大型ディスプレイ「デジロー」。大画面で注文しやすくなったのは言わずもがな、ユーザー体験を上げる細かい仕掛けの数々を見ていきましょう。
「落とし物DX」で売上15億円 競合だったJR東日本も導入した「find」はどんなサービスなのか
落とし物は誰にとっても身近なトラブルだが、その回収はアナログで非効率なままだった。そんな市場を15億円規模に成長させた「find」とはどんなサービスなのかというと……。
20年以上の経験がある採用面接官が指摘 「意味のない質問」とは?
面接官は面接で応募者の「何」を見ているのか? 20年以上のキャリアを持つ面接官が指摘する「意味のない質問」とは?
伝わるプレゼン資料かどうかは「作る前」に決まる 意識すべきポイントは?
プレゼン資料で重要なのは綺麗さではなく「伝わる資料になっているか」だ。では、どうすれば伝わる資料になるのか?
