オンライン会議中に宅配を受け取る新入社員 叱っていいのか、悪いのか？：「キレイごとナシ」のマネジメント論（3/5 ページ）

何度も続くと気になってくるし、客先での商談となると話も変わってくる。

[横山信弘，ITmedia]

30代女性メンバーが注意したが……

　ある日、30代の女性メンバーが新入社員に声をかけた。課長が頼んだわけではない。他のメンバーが「あれはマナー違反だ」「面白くない」と不満を漏らしていたからだ。

　この女性メンバー自身も在宅で仕事をしている。子ども用に買ったおむつなどを頼み、在宅中に宅配が届くこともある。会議中に呼び鈴が鳴り、恥ずかしい思いをしたこともあった。

　「会議中でなければ応対できたのに、なぜよりによって会議中に来たのか」

　そのような経験もあり、夜に時間指定すると、同居している義父から、

　「どうせ日中に家にいるのだから、昼間に受け取れ」

　と注意されてしまった。そのような背景もあり、自分も我慢しているのだから、空気を読んで「そういうのはやめようね」と伝えた。

　すると新入社員は、

　「それってパワハラではないですか？」

　と反論したという。女性メンバーは課長に訴えた。

　「チームを代表して注意したのに、パワハラだなんて！　とばっちりです」

　課長は頭を抱えた。

上司も扱いに悩む問題だ

オフィス出勤を促してみたが……

　課長は考えた末、こう提案した。

　「在宅だからこのようなことが起こる。オフィスに出勤してほしい。新入社員は一定の期間、オフィスに出てくるようにしよう」

　しかし新入社員はこう言い返した。

　「それは義務ですか？　採用面接のときに義務ではないと言われました」

　確かに、この会社では「リモートワークも可」を前面に押し出して採用活動をしていた。義務ではないと言われれば、課長も強制できない。

　さらに追い打ちをかけるような出来事が起きた。

　クライアントとの重要な打合せの最中でも、この新入社員は宅配を受け取ることがあったようだ。宴席にて、クライアントの部長から指摘されたのだ。

　「最近の若い子は打合せ中なのに宅配とか受け取るんだね。5分ぐらい待たされたよ」

　「5分も……？」

　課長は平謝りするしかなかった。

　さて、課長はこの新入社員に叱っていいのか悪いのか？