「言ってもやらない部下」は“放置で正解”なのか?:「キレイごとナシ」のマネジメント論(4/4 ページ)
部下が動かないことに疲れ果て、そう考えたくなる気持ちは分かる。だが、そんなことをしたら「いなくても困らない上司」もしくは「いては困る上司」になってしまうだろう。ではどうすればよいか?
シンプルな実践方法
では、具体的なやり方として「GROWモデル」を理解し、実践できるようにしよう。
多くの上司は感覚的に部下を指導している。「分からないことがあれば相談して」「そこは、こうしなくてはダメだ」というアドバイスやフィードバックばかり。これでは部下は成長しない。
GROWモデルという明確なフレームワークがある。これを使えば部下指導は驚くほどシンプルになる。GROWモデルは5つの要素で構成される。
- Goal(目標)の明確化
- Reality(現状)の把握
- Options(選択肢)の検討
- Will(意欲)の確認
- Resources(リソース)の分析
例えば営業部の若手社員を指導するケースを考えよう。まずGoal(目標)を明確にする。「売り上げアップ」ではあいまいすぎる。そこで「3カ月後に月間売上500万円を達成する」と具体化してはどうか。
次にReality(現状)を数値で把握する。現在の月間売上は平均300万円。訪問件数は月30件。成約率が10%。こういった数字を基準して考えると、目標までのギャップが明らかになる。
Options(選択肢)とは、目標達成のためのやり方・選択肢のことだ。目標と現状とのギャップを埋めるために、どんな選択肢があるか、部下と一緒に考えればいい。
Will(意欲)は、目標が明確で十分な選択肢があれば自然と生まれる。「達成への道筋が見えればやる気が出る」ものだ。
Resources(リソース)は最も重要だ。部下が不足しているものを見極めよう。
プレゼン力はあるが計画性に欠ける、人脈が足りない――。そんな特徴を把握し、何を補強すべきかを一緒に考え、上司はサポートするのだ。
このGROWモデルはとてもシンプルであり、覚えやすい。このフレームワークに沿って実践を続ければ、誰でも効果的な部下指導ができるはずだ。
部下指導は上司の最重要任務である
部下指導とは「指示を出す」だけの行為ではない。部下一人一人の成長を促進する「育成」のプロセスといえよう。
だからこそ部下の指導には、個々の特性に合わせたアプローチが必要だ。多様性の時代なのだから、
「リーダーはコレさえやればいい」
「部下指導はこうすべし」
といった単純化した考えを持つのはやめよう。部下の特性を見極め、相手に合わせた指導する。これができない上司が、部下を「言ってもやらない部下」に変えてしまうのだ。
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