女性駅員がデジタル人材に転身 JR西、コロナ禍の“危機感”から始まった全社DXの舞台裏(2/5 ページ)
コロナ禍を経て、「鉄道一本足打法ではダメだ」という危機感を持ったJR西日本。デジタル技術を活用した業務変革に取り組む同社には、駅員からデジタル人材に転身した社員も。同社のDX推進の現場を取材した。
プロジェクト管理の難しさに直面
綿密な準備により順調に見えた野世氏の社内キャリアチェンジだが、異動直後は仕事の進め方の違いに戸惑った時期もあったと振り返る。「駅員業務は、目の前のお客さまの状況を瞬時に判断し、すぐに行動に移すことが求められます。一方、システム部門では課題を整理し、関係者と合意形成を図りながら、計画的に物事を進めていく力が求められます」(野世氏)
特にプロジェクト管理の難しさは、現在も日々感じているという。システム導入やアプリ運用においては、要件整理やスケジュール調整、リスク管理など、一つ一つの判断が多くの関係者に影響を及ぼす。「計画的に物事を進めると一言で言っても、その裏には多くの確認作業や調整があります。予想はしていたものの、想像以上に大きなギャップでしたね」(野世氏)
しかし、そうした苦労の一方で、現場での経験が生きる場面もあった。野世氏は現在、従業員向けアプリの企画・運営を担当している。このアプリは、社員が自分のスマートフォンで会社の情報を手軽に確認できるものだ。
「実は私自身、育休中に会社の情報から距離ができてしまい、『もっと簡単に会社の今を知る方法はないだろうか』と感じていました」(野世氏)。その経験が、自分のスマホで見れる従業員向けアプリという形を生んだ。利用者からは「好きなタイミングで会社の情報を受け取れるのがうれしい」「自分で情報を探しに行かなくていいのが楽」といった声が届いているという。
「駅員時代の経験が、現場に導入するシステムの企画や運営に役立つ場面は数多くあります」と野世氏。異動前の経験が、現在の部署で新たな価値を生み出しているのだ。
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