タイヤはどこまで進化するのか ダンロップとブリヂストンが示す“次の一手”:高根英幸 「クルマのミライ」(1/5 ページ)
日本のタイヤメーカーを取り巻く環境は厳しい。安価なアジアンタイヤと差別化できる価値を生み出すため、国内メーカーは品質や技術を高めている。ブリヂストンやダンロップは、革新的な技術によって、これまでにない性能を持った製品を開発している。
高根英幸 「クルマのミライ」:
自動車業界は電動化やカーボンニュートラル、新技術の進化、消費者ニーズの変化など、さまざまな課題に直面している。変化が激しい環境の中で、求められる戦略は何か。未来を切り開くには、どうすればいいのか。本連載では、自動車業界の未来を多角的に分析・解説していく。
日本のタイヤ市場はこの10年ほどで大きく変化してきた。新車販売台数が減少し、新車装着用タイヤの販売が伸び悩む中、保有台数の増加を背景に、補修用タイヤは堅調な増加を示している。
しかし、日本のタイヤメーカーが置かれている状況は決して易しいものではない。欧米のタイヤメーカーに加え、最近は新興国の新興タイヤメーカー、いわゆるアジアンタイヤが台頭している。
アジアンタイヤの武器はやはり低価格だ。グリップ性能と価格だけのコストパフォーマンスでは、ユーザーの目にはかなり割安に映る。特にクルマを日常的に使い、走行性能などをあまり気にしないドライバーなら、タイヤ代などの維持費は安いに越したことはなく、価格を優先して商品選びをする傾向も強い。
筆者は、後述するダンロップのシンクロウェザーを長期モニター中。冬はグリップ性能が高く、夏は乗り心地がいいオールシーズンタイヤは、日本の技術者だから生み出せた。こうした差別化が今後重要になる(写真:meiju0919)
だが、タイヤメーカーは価格競争に巻き込まれると収益性が大きく下がってしまう。自動化にも限界があるタイヤ製造では、生産国によって人件費に差が出る。
それでなくても原料を輸入に頼っている日本では、放っておけば不利になるばかりの環境である。日本のタイヤメーカーは、安価な商品との価格差をユーザーに納得してもらえるような差別化が必須なのだ。
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