忘年会の繁忙期でも「回る店」は何が違う? 串カツ田中の人材育成を変えたテクノロジー活用(1/2 ページ)
串かつ居酒屋チェーン「串カツ田中」と、藁焼きカツオのたたきで知られる「明神丸」は、これらの課題解決に向けて店舗オペレーション管理ツール「V-Manage」を導入。限られた人数でサービス品質を保ちながら店舗を運営するため、テクノロジー活用が進んでいる。
本稿は、12月4日にインフォマートが開催した「メディア向け『V-Manage』勉強会」の内容を一部抜粋・編集した。
忘年会シーズンとなる年末は、飲食店にとって最大の繁忙期だ。日頃の運営課題があらわになりやすい時期とも言える。人手不足が深刻化するなか、多店舗を運営する企業では、限られた人数でサービス品質を保ちながら店舗を回すことが求められる。こうした状況では、業務管理や情報共有の仕組みを整える重要性が一段と高まる。
これらの課題解決に向け、居酒屋チェーンの「串カツ田中」と「明神丸」は、店舗オペレーション管理ツールを導入。店舗運営のDXを加速させている。
店舗スタッフが、タブレットに表示された画像をもとに、卓上に皿やはし、おしぼりを並べていく――。これは、両社が導入する店舗管理オペレーションツール「V-Manage」を用いた業務風景の一例だ。店側にとってはマニュアルを教える教育コストを抑え、オペレーションの均質化を図ることができる。
「店舗頼み」のスタッフ教育 オペレーションにバラツキも
飲食業界では、人材不足の深刻化が改めて浮き彫りになっている。企業向けクラウドサービスを提供するインフォマート(東京都港区)が飲食業の社員320人を対象に実施した調査でも、「人手不足」「人材教育」が経営課題の上位に挙がった。
12月は学生の試験期間や帰省と重なり、繁忙期ながら通常時よりも人手不足に陥る店舗も多い。応急対策としてスポットワーカーを活用するも、繁忙期ゆえに教育の時間を十分にとることができないという課題が生まれている。
全国45都道府県に330店舗以上を展開する串カツ田中でも、同様の課題に直面していた。
串カツ田中ホールディングス(HD)取締役社長室長の織田辰矢氏は「人材教育が各店舗頼みになっており、得意な店舗と不得意な店舗のばらつきが生まれていた。これによってサービスの均質化ができていない状態だった」と話す。
また、多店舗を運営する企業では、全店舗共通で実施するシーズンごとのフェア展開など、突発的なタスクへの対応も求められる。ルーティン化されていないタスクについて伝達する時間を確保できないと悩む企業も多い。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
データを紙・Excelで“バラバラ”管理 松屋が店舗運用のデジタル化を「現場主導」で成し遂げられた理由
松屋フーズホールディングスはこれまで、店舗運営に必要なデータを紙やExcelを中心に管理していた。同社は紙・Excel中心だった店舗運用をデジタル化することに成功し、現在は「予算管理」などさまざまな業務を効率化するため、アプリの内製化に取り組む。
店舗ごとに価格も量も変える 40年続く八丈島料理の居酒屋、都内展開の戦略
コロナ禍が明け、現在の外食産業の課題は何か。郷土料理を専門とする強みについて、八丈島料理の居酒屋を展開している源八船頭の牧田雄成取締役に聞いた。
ファミマ、AIが発注を最適化→週6時間の業務削減 「勘と経験」頼みをどう脱却した?
店舗スタッフの経験と勘による判断に頼るコンビニの発注作業には、さまざまな課題がある。こうした課題に対し、ファミリーマートは生成AIが最適な発注数を自動で提案するシステム「AIレコメンド発注」の運用を開始。同社に開発の経緯や導入後の成果を聞いた。

