“サボり”は美徳か、裏切りか? 「効率化」と混同される危険な言葉:「キレイごとナシ」のマネジメント論(3/4 ページ)
業務効率化を「上手なサボり」と呼ぶ風潮が広がっている。しかし、その言葉遣いは組織に静かな毒を回してはいないか。
「ラクをする」と「サボる」は似て非なるもの
とはいえ、冒頭の若手社員が言いたかったことも理解できる。「真面目にコツコツやることだけが正義ではない」と言いたかったのだろう。
ここで重要になるのが、「サボる」と「ラクをする」の区別だ。
私は常々「仕事はラクにすべきだ」と考えている。ここでの「ラク」とは、あまりストレスをかけず、できるようになっていることを指す。
- 無駄な会議をなくして時間を短縮する
- ITツールを使って手作業を自動化する
- 業務プロセスを見直してストレスを減らす
このような工夫は「ラクをする」ための行為だ。決して「サボる(義務の放棄)」ではない。むしろ、より高い成果を出すための「改善(カイゼン)」とも言えよう。
先ほどの三面等価の法則で言えば、「権限」を最大限に活用し、「責任」をより効率的に果たそうとしている状態だ。
「1時間かかる集計作業を、マクロを組んで1分で終わらせました」
これは素晴らしいことだ。空いた59分で、別の価値ある仕事ができるからだ。これはサボりではない。イノベーションだ。
しかし、次のようなケースはどうだろう。
「1時間かかる集計作業が面倒なので、適当な数字を入れて提出しました」
これは明らかに「サボり」だ。正確なデータを出すという責任を果たしていない。
「AIに議事録を書かせました。内容はチェックしていませんが、たぶん大丈夫です」
これもサボりだ。議事録としての正確性を担保し、報告するという義務を果たしていない。
違いは明確だ。「責任と義務」に向き合っているかどうか、である。
工夫をしてストレスがかからないようにする。もっと効率的に効果的にやるためにはどうしたらいいかを考える。それを実行するのは素晴らしいことだ。
しかし、それを「サボる」と表現しないほうがいいだろう。
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